◆陸上 ▽セイコー・ゴールデングランプリ(19日、東京・国立競技場)

 男子100メートル決勝は、柳田大輝(東洋大)が10秒21(向かい風0・1メートル)で優勝。予選を10秒07(追い風1・0メートル)とトップで通過したサニブラウン・ハキーム(東レ)は序盤から勢いに乗れず、最後は止まるようなスピードで10秒97の8位に終わった。目標としていたパリ五輪の参加標準(10秒00)は今大会で切ることができず「右ふくらはぎと左のハム(太もも裏)がつってしまった。スタートして十数メートルいったところだったので、とりあえず抑えました」と苦笑いするしかなかった。

 春先の海外のレースでは10秒0台を記録するなど、好調を維持してきた。その一方で「(1日に)2本、3本走るトレーニングはまだやっていない」とサニブラウン。今大会でも「予選で全力を出し切ろう」という考えだったという。手応えがある状態でスタートラインについたが、スタートは一度やり直しに。10秒07というタイムにも「集中していたので、(スタートのやり直しは)『クソッ』と思ったけど、そういう所で出さないといけない」と反省した。

 昨年の日本選手権(大阪)以来の国内レース。観客の声援も体に受けて「こういう中で走れたのはうれしいし、ここ(国立)で開催される来年の世界陸上では3階席も満員にできる状態でレースができるようにしたい」と改めてパリ五輪での金メダルへの決意は高まった。今後は欧州を拠点にオスロ(30日)、ストックホルム(6月2日)のダイヤモンドリーグに参戦する予定。「これから(五輪に向けて)2本、3本走れる体に仕上げていきたい」。再び日本に戻ってきて迎える6月の日本選手権(新潟)では、強くなった姿で最速を証明し、五輪切符をつかむ。