高岡市と射水市の「二十歳の集い」は4日、両市の各会場で開かれた。出席者は同級生との再会を喜び、能登半島地震を経て、深まった地域貢献の思いや、大人への自覚をあらためて胸に刻んだ。高岡市は地震の影響で1月7日に予定していた集いを延期、射水市は昨年から5月4日に開催している。

  ●「勇気と行動力持って」高岡市

 高岡市では市内12中学校区ごとに開催され、全体で1126人が出席した。

 地震で大きな被害を受けた伏木中学校区の式典は、市伏木コミュニティセンターで86人が出席して行われた。角田悠紀市長は式辞で、復旧復興の支援策が高齢者らに届いていないと説明し、デジタルに長けた若者に協力を求めた。災害に向けた備えの大切さも説き「今後もさまざまな体験をすると思うが、仲間を思い出し、顔を上げて前に進んでほしい」と激励した。

 麻生大河さんと高嶋莉子さんが復興に尽力している住民に感謝し「勇気と行動力を持って新たな未来を切り開き、ふるさと高岡に貢献する」と決意表明した。杉本愛尋さんと越田愛理さんが交通安全宣言をした。

 出席者からは「地域の力になりたい」と意気込む声が多く聞かれた。愛知の大学に通う北村旭さん(21)と石川の大学生中村龍馬さん(20)は17、18日に行われる伏木曳山(ひきやま)祭に参加するとし「住民の気持ちを盛り上げ、地域活性化につなげたい」と意欲を示した。

  ●「家族、地域に恩返し」射水市

 射水市では919人が20歳を迎えた。

 式典は、高周波文化ホールで、中学校区別に午前と午後の2回に分けて行われ、夏野元志市長は能登半島地震に触れ「予想できないこともあるが、自分を信じてたくましく生きてほしい」と激励した。中村文隆市議会議長が祝辞を贈った。

 午前の部は櫻井亜仁沙さんが「家族や地域の皆さんに恩返しできる大人になりたい」と誓いのことばを述べた。中波孝介さん、佐藤秀哉さんが市民憲章を朗読した。

 午後の部は萩原育未さんが誓いのことば、魚可奈さんと笹岡璃人さんが市民憲章をそれぞれ述べた。

 会場では、サプライズ動画が放映され、恩師からのメッセージが流れると出席者から歓声が上がった。市出身のテノール歌手澤武紀行さんが射水市民の歌を歌う映像を寄せた。

  ●髪飾りに復興の願い込め 高岡の吉田さんガラス制作

 高岡市芳野中出身の吉田遊舞さんは、復興の願いを込めた自作の髪飾りを付けて「二十歳の集い」に臨んだ。

 吉田さんは現在、東京のガラスデザイン会社でデザイナーをしている。以前から髪飾りを作りたいと考えており、地震を受けて制作に励んだ。

 髪飾りは直径12センチと5センチの2種類で、振り袖の柄に合わせて鮮やかな青や緑のガラスを切り出して成形した。蝶が幼虫からさなぎ、成虫へと美しく変化する過程を、復活や再生の象徴として、地震からの復興になぞらえた。

 吉田さんは、自ら作品を制作するのは初めてで勉強になったとし、「将来は富山に戻り、ガラスに関わる仕事で地元の伝統工芸に貢献していきたい」と笑顔を見せた。