能登半島地震についてお伝えします。被災地の漁業に深刻な影響を与えている海底隆起。いま、海の底で何が起きているのか、超音波を使った調査に密着しました。

地震で最大およそ4メートル隆起した能登半島。

記者
「こちらに停泊している漁船の中には、底をついて動けなくなってしまっているものもあります」

地震前までは石川県内最大の水揚げを誇ってきた輪島港も、水深が浅くなり、およそ200隻の漁船が漁に出られない状態が続いています。

隆起の全容を解明しようと研究者が調査に乗り出しました。

九州大学で浅い海域の調査を専門に行う菅浩伸教授(60)。

遊漁船に取り付けた装置から超音波を発射し、海底から反射された音波を捉えることで、水深がリアルタイムで地図に映し出されます。

九州大学浅海底フロンティア研究センター 菅浩伸 教授
「色を塗っていくような感覚で測深をしていく。浅いと色鉛筆で色を塗っている感じ。深くなるとはけで塗っている感じ」

何度も往復を繰り返しながら水深を計測していきます。地元の船長も隆起による変化に驚きを隠せません。

遊漁船「凪紗丸」 岩坂紀明 船長
「あそこなんか波立っている。(地震前は)出ていなかった。あそこはギリギリ通れるか通れないか。もう頭出している」

浅瀬に乗り上げないように慎重に船を走らせます。

「7メートル?」
「7メートルで底見えないのかな。普通、7メートルならスーッと見えるはず」
「6メートル!」
「もうやめよう、心臓に悪い」

調査を始めてから6時間。超音波が特徴的な地形を捉えました。

「相当大きな崖になっている。これはずっと続いている」

高さ5メートルほどの段差が海岸線に沿うように一直線に続いています。

九州大学浅海底フロンティア研究センター 菅浩伸 教授
「直線は自然界では不自然。こういう直線的なものが配列しているということは、何かあるのではないか」

今回の調査では、輪島市の沖合でおよそ2キロにわたって、これまで知られていなかった高さ3メートルから4メートルほどの段差を発見。菅教授は地震で動いた活断層の一部の可能性もあるとしています。

地震から4か月半が経っても漁に出られない状態が続く輪島港。菅教授は調査で得られたデータを海底地形図としてまとめ、今後の安全な漁につなげてもらおうと、近く、公開することにしています。

九州大学浅海底フロンティア研究センター 菅浩伸 教授
「これだけの漁船があって、これだけ漁を大切にする輪島の方々だから、われわれが調査を始めたタイミングが1つのきっかけとなって、どんどん船が出ていくことができれば」