●警戒を強化

 富山市西小俣の民家付近で21日、80代男性がクマに襲われ重傷を負った人身被害を受け、県は22日、県民会館で第1回ツキノワグマ緊急対策会議を開いた。今年、県内での出没件数(21日現在)は昨年同期比25件増の114件、有害捕獲数は36頭と最多ペースで推移しており、県は市街地などの被害防止対策や警戒態勢を再確認する。

 県自然保護課によると、今年の出没件数114件は、年間の出没件数が最多だった10年6月末の98件を上回るペースで推移している。有害捕獲数36頭は2004年以降では6月末までに44頭を捕獲した20年に次いで多い。

 県担当者は県内で今年初めての人身被害となった21日の状況を説明し、鈴やラジオを活用して自分の存在を示し、生ごみや果樹などクマの誘引物を除去するといった対策を紹介した。

  ●対策補助金の申請すでに700万円分

 県は今年度、市町村が実施するクマ対策の補助金を拡充し、パトロールや誘引物除去に要する費用、クマ出没時の連携を確認する訓練を助成している。新年度予算には800万円を計上したが、すでに昨年度を超える700万円分の申請があった。県は足りなくなれば予算を追加する方針で、積極的な利用を呼び掛けた。

 富山市の担当者は人身被害の現場で警戒を続けていると報告し、県自然博物園ねいの里の間宮寿賴館長補佐はクマの行動の特徴と対策を説明した。

 会議は県庁の関係部署、市町村と関係団体の担当者、専門家ら約40人が出席した。新田八朗知事は「県民の安全、安心を守るために一丸となって取り組みを進める」と述べた。

  ●高山線線路に死骸

 22日午前10時50分ごろ、富山市片掛のJR高山線の線路上で、クマ1頭が死んでいるのをJR西日本の社員が見つけ、富山南署に通報した。けが人や列車の遅延はなかった。県内のその他の目撃情報は次の通り。

 ◇21日▽氷見市上田地区・中谷内地区(午後5時半)幼獣

 ◇22日▽上市町湯上野(午前10時)成獣1頭、幼獣1頭▽南砺市高窪の国道304号(午後1時40分)幼獣1頭