明治20年代〜昭和40年代に鉄道の旅を彩った多彩な焼き物を展示する特別展(福井新聞社後援)が、福井県越前町の県陶芸館で開かれている。駅弁とともに提供されていたお茶の容器、汽車土瓶や駅そばのそば皿など、当時を物語る貴重な焼き物を中心に、約100点を並べている。

 汽車土瓶は主に信楽や益子、瀬戸で生産され、昭和20年代には県内でも作られていたことが分かっている。越前焼のそば皿は北陸本線の今庄駅で、乗客がわずかな待ち時間で食べるそばを提供していた。いずれも使い終わると捨てられていた。

 そのため、展示品は今ではなかなか手に入りにくい品ばかり。汽車土瓶は、収集家で文筆家の秦秀雄氏(坂井市出身)が集めた品や、福井駅周辺の発掘品などが展示されている。「Neo汽車土瓶」と題し、越前焼と信楽焼作家が手がけた現代版汽車土瓶も並ぶ。

 そば皿は、そば店を展開する県内企業が所蔵する約10点が並ぶ。昭和20年代〜30年代、越前市氷坂の窯元が製作していた。そば皿は当時は一度に安く大量に生産するため、皿の縁にだけ釉薬(ゆうやく)を施して複数枚重ねて焼成しており、現代のそば皿とは違った趣が楽しめる。

 特別展は北陸新幹線県内開業を記念し、県陶芸館が企画。6月23日まで。

 一般800円、高校生以下と70歳以上は300円、未就学児は無料。毎週月曜と4月30日、5月7日休館。問い合わせは同館=電話0778(32)3262。

 5月4日と6月1日午前11時からは、学芸員が展示品の見どころを解説するギャラリートークがある。
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