不登校の子どもを支援しようと、茨城県つくば市教育委員会は本年度、市立小中・義務教育学校全50校で、教室に通えない子どもの居場所となる「校内フリースクール」を開設した。自治体の公立校全てに設置するのは県内初。不登校の子どもが増加する中、多様な学びを確保する。

文部科学省の調査(2022年度)によると、県内の小中学校で30日以上欠席した不登校の児童生徒は過去最多の8577人。同市では838人と、20年度の399人から2倍以上に増加した。

市教委の校内フリースクールは、教員免許を持つ「支援員」と、相談や事務サポートを担う「補助員」の2人体制。平日は支援員が常駐し、子どもの学習を支援したり、相談を受けたりして、子どもの居場所づくりに取り組む。市教委学び推進課によると、全校に支援員を配置済み。

23年度には市内23校で先行して開設。同課によると延べ300人超が利用した。教室で過ごすのがつらかったり、学校に通えなかったりする児童生徒の利用があったことから、同課は「一定の効果があった」と判断。本年度から全校での設置に踏み切った。

県教委義務教育課によると、校内フリースクールは県内で拡大傾向。23年度は13市町38校にとどまっていたが、本年度は県の関連事業だけで34市町村77校に拡大。自治体独自の設置を含めると、少なくとも100校は超える見通しだ。

市は、フリースクールなどを運営する民間事業者に経費の半額を上限に補助金を給付。利用者にも月額上限2万円を補助している。

つくば市吾妻でフリースクール「むすびつくば」を運営するNPO法人「リヴォルヴ学校教育研究所」の小野村哲理事長は「不登校の子は望んで不登校になっているわけではない。学校側のLD(学習障害)に対する理解が不十分だったり、いじめだったり、それぞれ理由がある」と指摘した。

市教委は22年度、不登校に関する検討を重ね、当事者の保護者や教育関係者などの意見を基に支援事業を展開しており、フリースクールはその一環。同課は「不登校の人数増減にとらわれ過ぎず、子どものニーズに耳を傾けて支援を続けたい」としている。