茨城県美浦村土浦の国史跡「陸平(おかだいら)貝塚」を広くPRするため、遺跡の保護のために伐採した竹で作る「竹灰」を釉薬(ゆうやく)に用いた焼き物が完成した。同村宮地のみほふれ愛プラザの直売所で8日から販売する。貝塚の保存活動に取り組む市民団体「陸平をヨイショする会」と村文化財センターが開発した。「陸平物」と名付けた焼き物の第2弾になる。

同貝塚は1879(明治12)年、当時東京大の学生だった佐々木忠二郎、飯島魁の両氏が調査。日本人による最初の科学的調査として知られ、「日本考古学の原点」と呼ばれている。1998年に国史跡に指定された。

村は昨年、関連遺跡の「大谷貝塚」の調査で出土した貝殻の一部を釉薬に用いて青い色の陸平物を制作した。今回は貝殻と竹灰を配合し、焼き上がりは褐色がかった淡い緑色になった。組み合わせは川村勝センター長が発案し、笠間焼の窯元と約半年に及ぶ試行錯誤の末に出来上がった。

貝塚公園で同会が定期的に行っている草刈りで伐採された竹約2トンを燃やし、約8キロの灰を作った。作業に関わった同会の甃井二郎さん(79)は「子どもの頃、祖父の炭作りを手伝っていたので窯の扱いには慣れている。釉薬に使うため、不純物を取る作業は大変だった」と振り返った。同会メンバー約10人も灰作りに協力した。

商品はタンブラー2種類各2000円、小鉢1500円、小皿1000円、箸置き500円。形は出土した縄文土器を基調とし、デザインには遺跡の貝の層をモチーフにした白化粧土による斜め模様や、渦巻き模様などをあしらった。沼崎正美副会長(70)は「縄文時代の暮らしに思いをはせて、陸平の風を感じてもらえればうれしい」と笑顔で話した。

販売の問い合わせは直売所「みほーすふぁーむ」(電)029(875)6010。陸平物については同センター(電)029(886)0291。