キャッシュレス決済の普及で、最近はATMで現金を引き出すことが少なくなった。そのせいかATM手数料についてあまり関心がなかったのだが、先日、コンビニのATMで現金を引き出した時に手数料がかかったことから、がぜん、意識し始めた。

 調べてみたところ、3大メガバンクのみずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行それぞれのATM手数料が無料になる条件が、2020年や2021年に変更になっていた。そのため、これまで優遇されていた筆者のATM手数料が必要になってしまったようだ。

 そこで、改めて3大メガバンクのATM手数料や、手数料が無料になる条件を調べてみた。そこで分かったのは、ちゃんと知識があれば、支払わなくてもよかった手数料があったことだ。詳しく説明していこう。料金は全て税込み。

●ATM手数料が無料になる時間帯は銀行によって大きく異なる

 ATM手数料が無料で現金を引き出せる時間帯は、平日8時45分〜18時のみだと思っていた。ところが銀行によってその時間帯はさまざま。またコンビニATMのセブン銀行、ローソン銀行、イーネットを利用する場合も、銀行によって必要な手数料がかなり異なることがわかった。

三菱UFJ銀行の現金引き出しのATM手数料

 三菱UFJ銀行は、3大メガバンクの中でATM手数料が無料の時間帯が一番長い。自行ATMの場合、平日8時45分〜21時と土日祝も8時45分〜21時なら手数料が無料になる。その他の時間帯は110円だ。この手数料の条件は、三井住友銀行の店舗外ATMでも同じ。

 コンビニATMではセブン銀行とローソン銀行が同じ条件になり、平日8時45分〜18時が220円で、その他の時間帯は330円になる。これに比べてイーネットの手数料は少し安くなり、平日8時45分〜18時が198円で、その他の時間帯は308円になる。

 コンビニATMの3社とも、毎月25日と月末日には手数料の優遇があり、平日8時45分〜18時は無料、その他の時間帯も110円と手数料が安くなる。

三井住友銀行の現金引き出しのATM手数料

 手数料が必要な時間帯が筆者のイメージに一番近かったのが三井住友銀行だ。自行ATMの場合、平日8時45分〜18時は手数料が無料。その他の時間帯は110円が必要になる。なお、毎月25日と26日には手数料の優遇があり、終日無料になる。

 この手数料の条件は、三菱UFJ銀行の店舗外ATMでも同じ。三井住友銀行と三菱UFJ銀行は2019年より店舗外ATMの共同利用を行っているからだ。ただし、これは店舗外ATMのみで、三菱UFJ銀行の本支店ATMでは別の条件になるので気を付けたい。

 また、コンビニATMの手数料は3社とも平日8時45分〜18時が220円で、その他の時間帯は330円になる。コンビニATMでも同様に、毎月25日と26日には手数料の優遇があり、平日8時45分〜18時は無料、その他の時間帯も110円と手数料が安くなる。

みずほ銀行の現金引き出しのATM手数料

 3大メガバンクの中で手数料の条件が最も複雑なのがみずほ銀行だ。自行ATMの場合、平日8時45分〜18時は無料だが、8時〜8時45分と18時〜23時は110円、その他の0時〜8時、23時〜24時は220円の手数料が必要になる。

 そして土日と祝日は手数料が異なり、0時〜8時は220円というのは同じだが、土日は8時〜22時が110円になり、22時〜24時は利用できない。一方、祝日は8時〜23時までが110円で、23時〜24時は220円になる。

 コンビニATMの手数料は3社とも平日8時45分〜18時が110円で、その他の時間帯は220円になる。ただし、土曜の22時〜24時、日曜の0時〜8時は利用できない。

 なお、これは現金引き出しの手数料で、預け入れや残高照会、振込などの手数料は異なる。また、各ATMはメンテナンスで利用できない時間帯があるので注意したい。

●条件をクリアすればATM手数料が無料になるサービスがある

 各銀行では、預金残高や銀行サービスの利用など、設定された取引条件を満たすことで、ATM手数料が無料になるサービスを用意している。

三菱UFJ銀行は「スーパー普通預金」と「三菱UFJダイレクト」

 三菱UFJ銀行では「スーパー普通預金(メインバンク プラス)」と、インターネットバンキングの「三菱UFJダイレクト」を利用する人が、「Eco通帳」の利用もしくは1回10万円以上の給与または年金の受取のどちらか1つの条件を満たすことで、自行ATMと三井住友銀行の店舗外ATMの時間外手数料が何回でも無料になる。

 Eco通帳の利用でコンビニATMの利用手数料や時間外手数料を月1回まで無料にでき、1回10万円以上の給与または年金の受取をすることで月2回まで無料にできる。

 Eco通帳とは、紙の通帳の代わりにスマホやPCで入出金明細が確認できるサービスのこと。紙の通帳は併用できない。三菱UFJ銀行では2024年9月11日より、2年以上の一定期間、通帳記帳していない紙通帳の利用を自動的に停止することを発表している。紙の通帳を利用している人は注意したい。

三井住友銀行は「SMBCポイントパック」または「Oliveアカウント」

 三井住友銀行では特典や優待を提供する「SMBCポイントパック」というサービスがあり、以下の条件のどれか1つを満たすことで、自行ATMと三菱UFJ銀行の店舗外ATMの時間外手数料が何回でも無料になる。また、コンビニATMの利用手数料や時間外手数料においても、各3項目の条件のどれか1つを満たすことで、月3回まで無料にすることができる。

コンビニATMが月3回まで無料になる条件(いずれか1つ)

・預かり資産残高が500万円以上

・投資信託と外貨預金の合計金額が100万円以上

・NISA残高あり

・投信自動積立または外貨自動積立サービスの利用

コンビニATMが月2回まで無料になる条件(いずれか1つ)

・給与の受取

・年金の受取

コンビニATMが月1回まで無料になる条件(いずれか1つ)

・「SMBCデビット」の利用

・クレジットカードの利用代金の引き落とし

・満15歳〜24歳の顧客

 なお、SMBCポイントパックは2023年11月22日で新規受付が停止された。これからATM手数料の優遇を受けたい場合は、三井住友銀行の口座、クレジット、デビットなどをまとめて管理できる「Oliveアカウント」に申し込もう。自行ATMと三菱UFJ銀行の店舗外ATMの時間外手数料が何回でも無料になり、選べる特典でコンビニATM手数料も1回無料にできる。

みずほ銀行は「みずほダイレクト」と「うれしい特典」

 みずほ銀行では、みずほマイレージクラブ「うれしい特典」の条件を満たすことで、ATM時間外手数料無料などの特典が得られる。まずインターネットバンキングの「みずほダイレクト」を利用し、以下の条件のどれか1つを満たすことで、自行ATM時間外手数料が何回でも無料になる。また条件によって、イーネットATMの利用手数料や時間外手数料も最大月3回まで無料にすることができる。

イーネットATMが月3回まで無料になる条件(いずれか1つ)

・クレジットカードまたはデビットカードの利用が年間100万円以上

・資産運用商品の合計が100万円以上

・借入残高あり

イーネットATMが月2回まで無料になる条件(いずれか1つ)

・キャッシュレス商品(「みずほWallet」「J-Coin Pay」など)の利用

・積立投資信託1万円以上の利用

・給与の受取

・みずほの学割の加入

イーネットATMが月1回まで無料になる条件

・預金残高30万円以上

 筆者のメインバンクは三菱UFJ銀行だが、土日祝は手数料が必要になると思い込んでいたために、コンビニATMで現金を引き出し、手数料を支払ってしまっていた。コンビニATMだと土日祝は330円の手数料が必要。実にもったいないことをしていたと反省しきりだ。普段、何げなくATMを利用していた人なら、これからはATM手数料を無駄に支払うことのないように、手数料に関する情報をアップデートしておきたい。