【東京支社】環境省は16日、2023年度に過去最多の人的被害をもたらしたクマを「指定管理鳥獣」に追加したと発表した。都道府県による捕獲や生息状況の調査事業が国の交付金対象となる。地域の実情に応じて技術や財政支援をし、個体の維持と被害防止の両立を図る。

 伊藤信太郎環境相は同日の閣議後記者会見で「捕獲に偏らない対策を都道府県に働きかけたい」と強調。個体数や生息分布の調査、出没時の対応や人材育成など支援策を検討する。交付金の支給時期については「秋の出没対応に間に合うように準備を進めたい」との考えを示した。

 環境省の専門家検討会は2月、クマを追加する方針案を決め、既に指定されているニホンジカ、イノシシと異なる支援メニューの必要性を指摘。中央環境審議会への報告を経て、鳥獣保護法の施行規則を改正し、指定した。絶滅の危険が高い四国は対象から除いた。

 岩手県は今後、国のガイドラインに沿って管理計画を見直し、事業を具体化する方針。23年11月、北海道東北地方知事会長として伊藤氏に追加を求めた達増知事は「要望内容を受け止めていただき感謝している。交付金を活用した追加対策も検討し、さらなるクマ対策の充実に取り組む」とした。