岩手県矢巾町の所有地2カ所に、正式な手続きが取られないまま、県事業の土砂が大量に運び込まれていたことが26日、明らかになった。現場は煙山ダム東側と旧町マレットゴルフ場跡地で、工事で排出された計1万500立方メートルが山積みに。町と県の担当者が必要な文書作成を怠り、県は使用料を納めていなかった。撤去費3500万円は県が全額負担し、原状回復する。

 町や県によると、土砂は2019〜23年に河川改修や道路改良舗装工事など盛岡広域振興局所管の14事業で出た。ダム東側が9282立方メートル、ゴルフ場跡地は1240立方メートルで、23年5月の町有地の見回りで発覚した。

 当時の町の担当課長らと県の担当職員らは口頭やメールでやりとりしていたが、町の正式な使用許可は下りていなかった。当時、口頭で許可を出していた町の担当課長は、別の工事の無断発注で23年3月に依願退職している。関わった町職員数人の処分は今後検討する。県も複数の職員の処分を検討する。