企業買収ファンドの業界団体「日本プライベート・エクイティ協会」(PE協会)が、海外資金の呼び込みに向けて、運用成績の開示強化に乗り出すことが24日、分かった。国内企業の事業再編活発化でファンドの投資機会が増える中、国内で活動するファンドの資金規模拡大へ業界で取り組む。海外投資家に影響力を持つ英調査会社にデータを提供し、日本市場に目を振り向けさせる。

 運用成績などは、これまでPE協会のホームページ上での公表にとどまっていたが、年内にも調査会社「プレキン」にデータ提供を始める。同協会の飯沼良介会長(アント・キャピタル・パートナーズ社長)は「海外投資家はかつてなく案件が増えている日本に魅力を感じているが、日本のファンド業界の実態が見えていない」と話した。

 飯沼氏は日本市場に関し「大企業は非中核事業の切り離しをためらわなくなり、上場企業も非公開化を真剣に検討し始めている」と指摘した。近年では日立製作所が子会社の日立金属などをファンドに売却、東芝も国内投資ファンドの傘下に入る形で非上場化するなど、企業の再編戦略にPEファンドが絡む事例が目立つ。

 ただ、欧米などの先進国と比べると、まだまだ日本のPE投資の規模は小さい。ベイン・アンド・カンパニーによると、日本の2019〜23年平均のPE市場規模は対国内総生産(GDP)比で0.4%と、米国の3分の1程度の水準だ。

 PE協会は05年に設立し、23年末時点で正会員は62社。官民ファンドを含む国内勢に加え、ベインキャピタル、カーライル・グループなどの米投資ファンドなども加盟している。