5月5日はこどもの日。4月ごろから、大空を舞うようにこいのぼりが泳いでいるのを見かけました。

 最近は、カラフルでド派手なこいのぼりがあったり……。家族分なのでしょうか? 吹き流しの下に5匹のこいのぼりが並んでいるのを見かけたこともあります。

 いろいろなこいのぼりを目にするなかで、ふと考えました。「大きさや、さまざまな色のこいのぼりがあるけど、決まりはないんやろか?」と……。

 そこで、こいのぼりの販売店に行って詳しく聞いてみましたところ、「そもそも大きな真鯉(黒い鯉)がお父さんというわけでも、赤い鯉がお母さんというわけでもないねん」という驚きの回答が!

 童謡の『こいのぼり』のイメージが強いのですが、そもそも、江戸時代ごろは真鯉1匹だけを掲げていました。赤い鯉(緋鯉)は明治ごろに登場し、真鯉と緋鯉どちらも親というわけではなく、「鯉の登竜門(急流をのぼりきった鯉が龍になったという伝説)のように、子どもが元気に立派に育ってほしい」という願いを込めて掲げられていたのだそうです。

 そのため、本来の意味としては、家族構成によって色分けをしたり、上から大きさ順に並べたりしなくてもいいし、なんなら真鯉1匹だけでも、緋鯉を3匹並べてもいいんです。

 さらに、「あっ、そうそう!」と思い出したように、こんな話も聞かせてくれました。

「こいのぼりの上に“吹き流し”ってあるやないですか。実は、あれはこいのぼりよりも古い時代からあるみたいで、邪気や災いをはらう魔除けとして掲げられてきたらしいんです。つまり、1番上に1つだけやなくて、なんやったらぜんぶ吹き流しにしたら強力なお守りがわりにもなりますよ(笑)」

 もちろん、家族をあらわして掲げてもいいですし、子どもが生まれるたびに黄色やピンクとかの小さなこいのぼりを増やしてもいい。

 それに、家族事情というのはさまざま。国際結婚をして旦那さんが外国人だから、鯉やなくて海外にいる魚のデザインにしたり、お父さんお母さんが共働きのため「2人で大黒柱」という意味合いで黒と赤の鯉を同じサイズにしたり。さらには、「うちは女の子ばっかりやねん」と、ラブリーな色の小さなこいのぼりをズラーッと並べたり、本当にさまざまなんです。

 最後に、担当者さんは「こいのぼりは時代とともに変化していますし、意味合いやルールはそれぞれの家族で決めればいいんです」と話してくれました。

「なるほど!」と思いながら、帰り道にある、大きなこいのぼりを飾っているおうちを見て思いました。

 変わらないのは、子どもの未来の幸せを願う親の気持ちですよね。

※ラジオ関西『バズろぅ!』2024年5月4日放送回より

(『バズろぅ!』ラジオパーソライター・わきたかし)