頓挫していたフィンランドのキュミリング・サーキットのF1やMotoGPの誘致計画を進めるべく、アルファロメオF1のバルテリ・ボッタスがプロジェクト側と話し合いの機会を持ったようだ。

　このプロジェクトは元々2007年に構想され、2019年にはMotoGPなどのプロモーターを務めるドルナ・スポーツとの5年契約の一環として、2020年からのグランプリ開催に向けてMotoGPが小規模な走行テストを実施していた。

　しかし、初開催となる予定だった2020年大会はCOVID-19の影響により延期。2021年も同様に開催が見送られ、2022年はようやく開催にこぎつけるかと思われたが、パドックや交通網といったインフラに不備が見つかった。加えて、隣国ロシアが2022年2月よりウクライナへの軍事侵攻を開始したことでサプライチェーンが寸断し、さらにフィンランド自身が北大西洋条約機構（NATO）への加入を表明するなど、国際情勢の面でも厳しい状況に追い込まれていった。

　結果サーキットのホモロゲーションが間に合わなかったこともあり、2022年の開催も中止。キュミリングの開発会社は経営破綻してしまい、MotoGP誘致は2023年も実現しなかった。

　しかしボッタスは、キュミリングでのF1誘致の可能性も含め、プロジェクトを復活できるかどうか、サーキット責任者と初段階のミーティングを行なったと明かした。

　ボッタスは次のように語る。

「フィンランドにちゃんとしたサーキットを作りたいんだ。国際レベルのサーキットをね」

「でもサーキットの会社が倒産してしまったから、ここから先は簡単な道ではないだろうけどね」

「でも、何か手伝えることがないか、何か僕にできないかと、彼らと話し合っているんだ。今のところ、それはただの話し合いだ。簡単なことじゃないよ」

「フィンランドはしっかり冬があるところだから、少なくとも冬は稼働しないこととになる。どんな可能性があるか見てみるよ」

　サーキットのウェブサイトを見てみると、施設の「所有者」はフィンランドモーターサイクル協会、AKKスポーツのマーケティング会社、A・アールストローム不動産、リッティ自治区だ。

　キュミリングは2500万ユーロ（約37億円）の債務を背負っており、MotoGPの中止やNitroラリークロスやワールドモトクロスの開催地変更に伴う契約上のペナルティもあるとされている。

　なおサーキットのソーシャルメディアは、現時点で7ヵ月間にわたって活動を停止している。

　フィンランドでは、1982年にイマトラ市街地サーキットでロードレース世界選手権フィンランドGPを開催して以降、世界選手権レベルの二輪レースは開催されていない。

　またフィンランドは、ケケ・ロズベルグやミカ・ハッキネン、キミ・ライコネンという3名のF1チャンピオンを輩出し、2023年時点で計57勝、ポールポールポジション70回を記録。F1史において最も成功を収めた国のひとつだ。しかしながら、フィンランドでF1が開催されたことはゼロ。F1チャンピオンを輩出した国の中でF1開催経験がないのは、フィンランドとニュージーランドのみとなっている。