2026年からホンダとタッグを組むことが決まっているアストンマーティンF1チームは、天才デザイナーのエイドリアン・ニューウェイに、契約を打診したようだ。当然、その契約金は巨額になると思われる。

 ニューウェイはウイリアムズFW14Bを皮切りに、これまで数々のチャンピオンマシンをデザインしてきた、F1チームが成功するための鍵を握っている人物とも言える。レッドブルも、ニューウェイが加入してから急成長し、2009年以降トップチームの仲間入り。セバスチャン・ベッテルやマックス・フェルスタッペンの成功は、彼の存在なくして語れない。

 現在もレッドブルのチーフ・テクニカル・オフィサーを務めるニューウェイだが、motorsport.comの調べによれば、アストンマーティンF1が今年のサウジアラビアGPの際に移籍を打診したようだ。

 アストンマーティンF1のオーナーであるローレンス・ストロールは、トップチームの仲間入りを果たすために、これまで巨額の費用を投じて様々な策を講じてきた。イギリス・シルバーストンには最新鋭のファクトリーを用意し、新しい風洞も建設予定。ライバルチームから主要な人物を複数引き抜き、2026年からはF1に復帰するホンダのワークスパワーユニットを使うことも決まっている。

 ニューウェイを獲得することは、今季で契約満了を迎えるフェルナンド・アロンソを繋ぎ止めるための大きな要素となるだろう。また、メルセデスも関心を示しているフェルスタッペンの獲得を目指すとなれば、ニューウェイの存在はまさにうってつけとなるはずだ。

 ただニューウェイにはこれまでにも、数々のチームが触手を伸ばしてきたが、獲得にはいたっていない。とはいえタイミング的には、まさに今が絶好であるとも言える。

 レッドブルのチーム内に混乱が生じているのは明らか。チーム代表のクリスチャン・ホーナーと、レッドブル社との間での権力闘争とも言える争いも続いている。そういう状況であれば、ニューウェイが長く在籍してきたレッドブルを離れることを決断したとしても、決して不思議ではない。

 とはいえ、ニューウェイは昨年、レッドブルと複数年契約を締結したばかりであり、当時「レッドブルから離れるつもりはない」と明言している。そのため、今回のアストンマーティンF1の動きが成功するかどうかは定かではない。

 なおアストンマーティンF1はこの件に対するコメントを拒否している。