MotoGPクラスでは今シーズン唯一のルーキーであるGASGASのペドロ・アコスタ。最高峰クラスにデビューしてわずか2戦で表彰台を獲得するなど、早くも活躍を見せているが、その鍵はあくまでもチームにあると彼は語っている。

 アコスタは開幕戦カタールGPから速さを見せ、あのマルク・マルケス(グレシーニ)ともバトル。終盤は失速して9位となったが印象的なデビューを果たした。

 そして第2戦ポルトガルGPでも、アコスタは調子の良い走りだった。ここで彼はマルケスやフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)といった王者達を抜き、表彰台圏内まであと一歩の4番手まで浮上。マーベリック・ビニャーレス(アプリリア)のトラブルによるリタイアもあり3位となり、MotoGPクラス初表彰台を獲得した。

 アコスタの高い資質はMoto3、そしてMoto2時代から語られてきたがMotoGPでも遺憾なく力を発揮しているのは間違いない。ただ、アコスタ本人は、この成果の鍵になっているのはチームだと語っている。

「チーム全体には褒め言葉しかないよ。僕にとってはMotoGPバイクで新しいコースを走るのは簡単なことじゃないし、頭の中を管理するのも簡単じゃない。僕はレースウィークにおいて最も楽から程遠い人間なんだ」

「チームはありえないほど働いてくれている。毎朝、起きるとデータエンジニアやクルーチーフから改善すべきところを理解するために、チェックする写真など20通のメッセージが来ているような感じでね」

「チームは僕の進む道をより平坦にしてくれているんだ。彼らは僕の考えを本当に上手くマネジメントしてくれている。僕も、自分がときにはレースウイーク中、最も付き合いやすい人間じゃないというのも理解しているんだ」

 アコスタはMoto3クラスのときから次世代のマルク・マルケスとすら言われるなど、その注目度は非常に高かった。

 通常なら大きなプレッシャーのかかる環境にいるアコスタだが、チーム側はベテランのクルーチーフであるポール・トレバサンを中心として、アコスタを落ち着せ、学習を最大限に行なえる環境を作ろうとしている。そしてアコスタも非凡な適応を見せているという。

「我々のところには新人ライダーがいるが、驚くべきことは彼がプレッシャーを感じていないことだ」

 チーム代表のエルベ・ポンシャラルはCanal+にそう語った。

「彼は『ナーバスにはならないでいこう。僕はいい感じだし、ストレスは全然無いよ。僕に必要なのは、走って学ぶことだけだ』と言うんだ」

「(カタールでは)平均的なスタートを切り、そして上手く戻って来てくれた。彼が言っていたのは『最初にミスをするのは良いことだ。学べているよ』ということだった。だから私は今年が始まって以来、彼のことを“スポンジボブ”と呼んでいるんだ。全てを学び、吸収していくからね」

「私は彼に特に何かを言っているわけじゃない。彼に話しているのは『MotoGPで最初に走ったときからやっているように、君のやるべきことをし続けるんだ。それが必要なことだ』ということくらいだ」