2021年に初導入され、今シーズンは6つのグランプリで開催されるF1スプリント。F1のステファノ・ドメニカリCEOは、今後このスプリントの数を増やしていきたい意向を示した。

 先日行なわれた第5戦中国GPは、今季初のスプリントフォーマットで開催されたが、続く第6戦マイアミGPでもスプリントを実施。そして今後はオーストリア、アメリカ、サンパウロ、カタールと続いていく。

 スプリントはドライバーやファンからさまざまな評価を得ており、フリー走行が減る代わりにレースが増えることで一般からの関心は高まる一方で、チーム関係者の負担は増えるという声もある。

 2024年に向けてはそのフォーマットを微調整。セッションの順序を変えたことで土曜のスプリントレースからグランプリ予選の間にセットアップ調整が可能になった点は概ね好評であり、一歩前進を果たしたとも言える。

 グランプリレースとは異なる序列で争われることもあるスプリントレースは中国でも盛り上がりを見せたが、ドメニカリCEOは将来的に年間のスプリント開催数が現行の6回よりも増える可能性を示唆した。
 スプリント増加の可能性について、彼は『Sky Sports F1』にこう答えた。

「いいだろう。ダメかい? 毎日のように緊張感が保たれる点でも良いし、将来的には議論されることになるだろう」

「今はまず、今年のスプリントがどうなっていくかだ。ただそれ(スプリント増加)は次のF1委員会で議論したい点であることは確かだ」

「先日の日本GPのように、(悪天候により)マシンが走らないという事態は避けなければならない。それはドライバーを見たくて来ている人たちにとって良いことではない。各チームは我々がその解決策を探らないといけない、ということを理解してくれるだろう」

 また、2021年からF1ドライバーズ選手権を3連覇中のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)はしばしばスプリントに否定的な立場を採るひとりだが、今季のフォーマット微調整はポジティブな改善だと認めている。ただその一方で、だからと言ってスプリントレースを増やすべきだとは考えていないようだ。

「スプリント・フォーマットは良くなった。前よりは少し単純で分かりやすくなったんじゃないかな」とフェルスタッペンは言う。

「でもやりすぎは良くないよ。僕たちは既に年間24戦もやっていて、その内6レースがスプリントなんだから」

「気持ちは分かる。テレビの視聴数などを考えてもその方がいいだろうからね。でもメカニックや色んな人たちのストレスにもなる」

「そこ(ストレス)は自分たちで何とかしないといけないのもそうだけど、だからといって12戦も(スプリントを)やろうなんて思わないようにしよう。それは人々の犠牲の上で成り立つんだから」

 一方でマクラーレンのランド・ノリスは、スプリントの増加について次のように意見を述べた。

「ドライバーにとっては正直そんなに悪いことではないと思う。僕たちは文句を言う立場にないと思う」

「でも何百人ものメカニックやエンジニアが移動しなければいけない。彼らにとっては健全ではないし、持続可能でもない。問題は僕たちにあるんじゃなくて、もっとチームの他のメンバーのことにも気を配るべきだ」