ジャガーのミッチ・エバンスは、フォーミュラE第8戦モナコE-Prixで優勝。ジャガーの見事なチームプレイによって掴んだ勝利に、エバンスはチームメイトのニック・キャシディを称えた。

 予選ではキャシディが3番手、エバンスが4番手とグリッド2列目に2台並んでレースに臨んだジャガー勢。ターン1のサンテ・デボーテでイン側を確保したエバンスが、キャシディとポジションを入れ替える形でオープニングラップを終えた。

 他のドライバーがカジノコーナー外側にあるアクティベーションゾーンを通ってアタックモードを起動していく中、ジャガー勢は動かず。10周目にはエバンスが首位、キャシディが2番手につけた。

 ここでジャガー勢は、他チームを出し抜くチームプレイを見せた。キャシディが後続を抑えてギャップを作り、首位のエバンスがポジションを落とすことなくアタックモードを使えるようにしたのだ。

 いくらモナコが抜きづらいことで有名だとはいえ、フォーミュラEではマシンが小型なこともあり、オーバーテイクは決して不可能ではない。そんな中にあって、キャシディは後ろを走るDSペンスキー勢に隙を与えず、エバンスは2回のアタックモード使用義務を消化した。

 すると今度は、エバンスがキャシディを前に出して同様にアタックモード消化を援護。2台が集団の中でポジションを落とすというリスクなくレースを進めることができたのだ。

 その後、キャシディは素直にエバンスに首位を譲ると、2台は他を引き離すレースペースでそのままワンツーフィニッシュを決めた。

「タフなレースになることはわかっていたし、アタック・モードの戦略がすべてだと思っていた」

 そうエバンスはレースを振り返った。

「この勝利はニックのおかげだ。彼は大事な時に僕を助けてくれた。僕も彼を助けたけど、今日の彼のようなチームプレーヤーには本当に感謝している」

 キャシディが2回目のアタック・モードに入った直後の17周目、エバンスはミラボーで首位を取り戻した。

 このような事態が発生した場合に備えて、レース前にどのような取り決めをしていたのかと尋ねられたエバンスは、スタートでキャシディより前に出たことで、戦略の面で優先権を得たことを示唆した。

「ターン1で彼をパスできるとは思っていなかったけど、僕がリードしていたからああいうことが起こったんだと思う。おそらく、それが最も公平な方法だったと思うし、ブリーフィングでもそう言われていた」

 そうエバンスは付け加えた。

「僕たちは、『よし、アタックモードを消化してから(キャシディとも)レースをしよう』と言うこともできたけど、チームは賢明なアプローチをしたと思う」

 一方キャシディは、チームとの無線交信に苦労していたと明かした。こうした好成績を残すためには、自らレース中に戦略を決定しなければならなかったのだという。

「ああいうポジションになると思っていなかったから、今日のレースはうまくいったと思う」

「でも最も公平なことをして、チームにとって最高の結果を出すためにあの役目を引き受けたんだ」

 エバンスの勝利は、昨シーズンの最終ラウンド、ロンドンの1戦目以来となる。エバンスは過去に複数のカテゴリーで計6回モナコの表彰台に上がっていたが、勝利は今回が初めてとなった。

「何年もあと一歩のところまで来ていた。GP2でも3回表彰台に上ったし、フォーミュラEでも3回表彰台に上った」

「僕のドライビングスタイルにとても合っているコースだと感じている。でも、なかなか思い通りにいかなかったんだ。今日、ようやくそれを成し遂げることができたのは素晴らしいことだ」