メルセデスF1のトト・ウルフ代表はアンドレア・キミ・アントネッリが、ローガン・サージェントと交代でウイリアムズからF1デビューするという噂を否定している。

 現在17歳のアントネッリはメルセデスの育成ドライバーとして非常に有望視されている存在で、今シーズンはFIA F2に参戦している。

 ルイス・ハミルトンの後任に選ばれるのではないかという噂もあったアントネッリは、メルセデスの旧型F1マシンテストも行なっている。そしてマイアミGPを前にアントネッリがサージェントに代わる形でF1デビューを果たすのではないかという噂が出回った。

 F1参戦に必要なスーパーライセンスの発給には、十分なスーパーライセンスポイントを獲得することの他、18歳以上であることが求められるが、マイアミGP初日の5月3日には、18歳より若い年齢で発給する免除要請がFIAに対して行なわれたことが明らかになり、アントネッリのF1デビューという噂への注目がさらに高まった。

 アントネッリが18歳を迎えるのは今年8月末であり、夏休み前にF1デビューを果たす準備が進められているのではないかと考えられたのだ。

 しかしながら、メルセデスのウルフ代表はこうした噂を否定。メルセデスはアントネッリをF2に集中させる考えを変えることに興味はないと語った。

「そういった免除のようなものは、我々が追い求めているものではないと、初めから言ってきた」

「メルセデスがそういったものを推し進めるのに熱心だという話が、どこから来るのかは分からない。キミはF2の戦いに集中することが必要なのであり、彼もそれは分かっている」

「それ以外のことはすべて噂に過ぎない。今も飛び交っているが、それは間違っている。彼はプレマのF2ドライバーで、それが彼のすることだ。そして、我々もそれに集中している」

 またウルフ代表は、F3を飛び級してF2まで駆け足で登ってきたアントネッリの経験不足を考慮しており、早期にF1デビューさせることによる”やけど”を負わせないように注意しているという。


「ほんの15ヵ月前、彼はF4マシンに乗っていたんだ」とウルフ代表は言う。

「我々はキミの能力、そしてその将来に非常に信頼を寄せている」

「だが彼にとって有益ではない形で、あるシリーズから別のシリーズへと飛び移るという夢を見るのではなく、我々には真摯に追うべき道がある」

「チャンピオンは、こういったことにとらわれるべきではないと思っている。ただ少なくとも私の気は散るがね。あなた方(メディア)が『キミのイモラでのドライブはどうなるんだ?』と聞いてくるからだ」

「それは起こらないことであり、メルセデスが望んでいるものでもない。そういった噂は、独自解釈をしているんだ。F2をやっていこう。我々はチームとして、解決すべきことがたくさんある」

 またウルフ代表はアントネッリの早期参戦にメルセデスが興味を示したことはないと語り、18歳未満でのスーパーライセンス発給の免除申請も第三者によって行なわれたものだと示唆した。

 アントネッリ自身は4月にメルセデスの2021年マシンW12で初のF1テストを実施。4月末にはイモラで2022年マシンW13によるテストも続けて行なっている。

 ウルフ代表によると、メルセデスはアントネッリの進捗について、フェラーリから今年代役でF1デビューを果たしたオリバー・ベアマンと比較しても満足しているという。

「我々の期待していた通りの軌道に乗っている」とウルフ代表は言う。

「簡単な日もあれば、難しい日もある。ふたりのドライバーとチームの間で、いくつかの問題を解決する必要があると思う。ただそれは予想外のことではない。テストはとてもうまくいっているし、落ち着いて取り組んでいる」

「それがシーズン前に我々が計画していたことであり、堅実なF2での戦いとメルセデスのためのテストを続けていくだけだ。それ以外のことは、我々にとって気を散らすモノでしかない」

「我々はジョージ(ラッセル)にとても満足している。彼はこのチームのドライバーであり続けるだろう。そして、ドライバーマーケットでもうまくいくと見ている」

「今後数週間や数ヵ月でそうなるわけではないんだ」