RBのチーム代表であるローレン・メキーズは、ハースのケビン・マグヌッセンが今季度々ペナルティを受けつつも後続を抑える戦略を取っていることについて、ドライブスルーペナルティを科すべきだと語った。

 大激戦となっている2024年のF1中団グループ。そんな中でもなんとかポイントを獲得すべく、各チームはあの手この手で、ひとつでも上のポジションを獲得しようと目指している。

 そんな中で戦略が成功しているのがハースだ。ハースは今季ここまで7ポイントを獲得し、ランキング7番手につけている。彼らはケビン・マグヌッセンに後続を抑えさせ、ニコ・ヒュルケンベルグに入賞させるという戦略も度々取ってきた。この過程でマグヌッセンは、コースオフなどでペナルティを重ねつつ、後続を抑えるという行動を取ってきた。これについては、抑えられる側の立場となったチームから、度々批判されることになった。

 先日行なわれたF1マイアミGPのスプリントでマグヌッセンは、メルセデスのルイス・ハミルトンに対してブロック作戦を展開。わずか100kmのレースで、4回のペナルティを受け、合計35秒がレースタイムに加算された。第2戦サウジアラビアGPでは、角田裕毅(RB)がこの作戦でブロックされ、入賞を逃すことになった。

 これらの作戦には批判も相次ぎ、マイアミGPの件にはマクラーレンのアンドレア・ステラ代表が「ライバルに対して故意にダメージを与える行為」と発言。またサウジアラビアGPの時にはRBのレーシングディレクターであるアラン・パルメインが「スポーツマンシップに反する行為」だと語った。

 ペナルティを度々受けても、コース上を走り続け後続を抑え込むという走り方に対してRBのメキーズ代表は、ペースを落として後続を抑えるという作戦自体は容認しつつも、ペナルティを受けてまでそれを続けるのは別の話だと語った。

「サウジアラビアで批判したのは、その動きが我々に直接的な影響を与えたからだ」

 そうメキーズ代表は語った。

「チームメイトを助けたりするために、後続のマシンを戦略的に減速させるのは、別の話だ。それは、このスポーツの一部だと思う」

「しかしコースをカットして誰かの前に出て、その人を抑え込むというのは何か違うと思う。F1はこのような事態を避ける方法を見つける必要があるだろう。それはさほど難しいことではなく、ドライブスルーを科せばいい。その瞬間に何が起きたのかを理解できれば、それでいいのだ」

「レースで2回目以降のペナルティとなる場合には、それが正しいことだと思うね」

「物事を複雑にしすぎないようにする必要があるけれど、今回の場合レギュレーションでは、スチュワードが何か起きたのかを判断し、その裁定を下すことが完全に許可されている」

「皆さんの反応を考えても、このやり方が今後も続くことは望んでいない。例えばモナコでは、シケインをカットして後続を抑えることができる。たとえそのドライバーが多くのペナルティやペナルティポイントを科せられたとしても、チームメイトが入賞するのには役立つかもしれない……それは正しいことなのだろうか?」

「こういうことが起こらないように、ツールを確実に揃える必要がある」

「サウジの話に戻せば、ケビンは既にコースアウトしたり、アルボン(アレクサンダー・アルボン/ウイリアムズ)と接触したことで、ペナルティを受けていた。そしてその後、彼はコースをショートカットして、我々の前に立ち塞がった。それで10秒のペナルティを科さないでほしい。ドライブスルーを与えるべきだ」

 ただメキーズ代表は、チームメイトを手助けするためにペースを落とし、後続を抑えることは許されるべきだと、改めて強調した。

「さっきも言ったことだが、チームメイトとの差を広げるために、ペースを落として後続を抑えるのは間違っているとは思わない」

 そうメキーズ代表は言う。

「しかし接触を起こしたり、コースをショートカットした場合には、その状態で後続を抑えることができないようなペナルティを科すべきだ。ドライブスルーが、その答えだと思うよ。同じ違反を複数回行なった時に、同じペナルティを複数回受けるというのはナンセンスだ」