WEC(世界耐久選手権)のハイパークラスに参戦しているプジョーは、性能調整(BoP)に不満を持っており、モータースポーツ責任者であるジャン・マルク・フィノーは、不公平に扱われていると語った。

 プジョーは今季、第2戦イモラからリヤウイングを搭載した改良型9X8を走らせているが、イモラでは10位、第3戦スパでは9位が最高だった。

 結果的にはガス欠による失格に終わったものの、ウイングレスのマシンで戦い、2番手を走行していた開幕戦カタールを超えるパフォーマンスを見せられずにいるのだ。

 フィノーはAutosportに「不公平な扱いを受けていると感じている」と語った。

 WECでは競技規則により、メーカー、チーム、ドライバーがBoPについて話すことは明確に禁じられているため、彼はBoPについて言及しなかった。

 しかし彼のコメントからは、改良型マシンを投入したプジョーがBoPにおいて、手ごころを加えられるべきだったと考えていることが読み取れる。

「1年かけてマシンを改良してきたのに、レーストラックやリザルトにその効果が表れていない」と彼は続けた。

「これは非常に理解しがたいことで、チームの士気にも影響する」

 プジョーはスパで、4kgの重量増と2kWのパワーダウンという調整がなされた。だがこれはイモラでの結果を受けた調整であり、フェラーリの499Pが12kg増と4kWと比較的大きな調整を受けた以外は、ハイパーカークラスの全車がプジョーと同程度の微調整を受けたのみだった。

 一方、WECをFIAと共催しているACO(フランス西部自動車クラブ)はフィノーのコメントに反応。2024年に導入された新要素を含むBoPの重要性を改めて強調した。

「BoPのプロセスにはウィンドウが設けられており、もしマシンがオーバーパフォーマンスであれば、我々は迅速にマシンを減速させる」

 そうACOのピエール・フィヨン会長は説明する。

「しかしもしマシンのパフォーマンスが想定以下であれば、我々はもっとゆっくり対応する。それは実力を隠し、弱いふりをするのを防ぐためだ」

 プジョー・スポールのテクニカルディレクターであるオリビエ・ジャンソニーは、2台の9X8のうち93号車が10位でポイント圏内に入ったにもかかわらず、スパでの結果は残念なものだったとレース後に語った。

「ここでのマシンのパフォーマンスにはかなり失望している」

「正直なところ、フリープラクティス1からここではかなり苦しいことが分かっていた。でも、今回見せたものよりももう少し近づけたかったんだ」

 ジャンソニーは、スパでの9X8はル・マン24時間の舞台であるサルト・サーキットの指標となる高速のセクターで速さがあったと指摘した。

「ル・マン24時間では、もっといいペースを見せたい」と彼は続けた。

「レイアウトがかなり違うからね」

 6月のル・マン24時間レースに向けて、BoPが調整される可能性はあるが、フィノーはその予測について言及を避けた。

「ル・マンはまた違うモノがあると思うので、予想することはできない」

 改良型9X8は、これまで同じだったフロントとリヤのタイヤサイズを変更。他のハイパーカー勢と同じく、フロントの方が幅が狭く、リヤの方が広くなっている。

 またエアロダイナミクスのコンセプトも見直され、リヤウイングが追加。重量配分やエアロマップの変更に合わせた最適化がなされている。