マクラーレンは、今年で没後30年を迎えたアイルトン・セナを追悼し、彼が得意としていたF1モナコGPを特別カラーで戦うが、一部意図的にパパイヤカラーが残っている。

 マクラーレンはサイドポンツーンやフロントウイングだけカラーリングを変えるという形ではなく、セナのヘルメットを象徴するイエロー、グリーン、ブルーのカラーリングをマシン全体に施した。

 しかしそのカラーリングで目を引く興味深い要素のひとつは、普段使用しているパパイヤ・オレンジのカラーが無くなっているわけではないということだ。

 フロントタイヤのフェアリングには、普段と同様オレンジのラインが施されているのが分かるだろう。

 普通なら他の部分との調和を図るため、ここをイエローに変更するのが当然のようにも思えるが、そうしなかったのには明確な理由があるようだ。

 マクラーレンのマーケティング部門はモナコでのカラー変更についてレースチームと綿密な打ち合わせを行ない、この部分のパパイヤカラーはドライバーにとって重要な視覚的目印であるため、変更しなかったと明かした。

 とりわけモナコGPでは、バリアに囲まれた中で攻めるためには正確さが非常に重要。フェアリングのカラー変更は視覚的な影響が生じる可能性があったのだ。

 ドライビングスーツとチームキットも特別カラーに変更される一方で、タイヤ交換を行なうピットクルーは普段通りのカラーであるのもそのためだ。

 マクラーレンのチーフ・マーケティング・オフィサーであるルイーズ・マキューアンは次のように説明した。

「マシンをよく見ると、フロントホイールカバーは意図的にパパイヤのままになっている」

「これだけのカラーリング変更、マシンのフルラッピングを行なう際、当然ながらパフォーマンスの妥協は許されない」

「昨年1年間レースチーム全体、特にエアロチーム、そしてトラックサイド・オペレーションと協力して、パフォーマンスを損なわないように努力してきた。だから、これらのコンポーネントは変更されていない。ドライバーにとって重要な目印なんだ」

「トラックでチームを見かけた時、カラーリングの入れ替えはチームキットにも及んでいる。しかし、意図的にピットクルー全員は変更していない」

「なぜなら、ドライバーは視覚的な合図に集中するよう訓練されており、彼らがピットストップでミスするのは最も避けたいことだからだ」