新井貴浩監督2年目のシーズンは連敗スタートとなってしまいましたが、第3戦に自身5年ぶりの先発勝利となったアドゥワ誠の熱投と、今季初スタメンとなったベテラン田中広輔の決勝弾で今季初勝利。開幕4連敗で始まった昨季よりは、良い滑り出しとなりました。

とは言え、高卒3年目の侍ジャパン選出で期待された田村俊介は開幕戦4打席4三振スタート、さらに新外国人野手のレイノルズ、シャイナーは、わずか2試合で揃って故障離脱と、まだ新戦力がほとんど機能していない状況です。

こうなると、田中のような既存の選手に期待ということになりますが、カープで『春先に強い』選手は誰なのでしょうか。近年の成績を見てみたいと思います。

昨シーズンの3・4月の月間成績で、特出した数字を残したのが秋山翔吾でした。MLBから日本復帰後2年目のシーズンとなった秋山は、開幕から5試合連続安打、うち3度のマルチ安打を記録。

その後も4月中に3安打が4度、4安打が1度と手のつけられない状態で、24試合でマルチ安打12試合、月間打率.404、2本塁打、13打点、出塁率と長打率を足したOPSは1.025の大活躍でした。

秋山は埼玉西武時代、NPB記録のシーズン216安打を記録した2015年も、3・4月は月間打率.374をマークしており、ロケットスタートの『爆発力』という意味では、もっとも期待できる選手と言えるかもしれません。

昨シーズンに3・4月月間打率.313をマークした菊池涼介は、2022年は同.299、2021年は同.352、新型コロナ前の2019年も同.301と、典型的な『春先に強い選手』と言えそうです。

昨シーズンは3・4月に7度のマルチ安打を記録している菊池は、4月27日の中日戦では1試合5安打をマークするなど、トップバッターとして、シーズン序盤の打線を文字通り引っ張る存在となりました。

坂倉将吾は、昨シーズンの3・4月月間打率こそ.227でしたが、2022年は同.298、2021年も同.294と、安定した数字を残しています。特に2022年はクリーンアップの一角である5番に固定されて2本塁打、18打点とポイントゲッターとして存在感を発揮。

三塁や一塁など内野手としての起用が主で、捕手としての出場は、数試合に1試合という程度のものでしたが、昨シーズンから自ら志願した捕手専任という立場で、22年までのような成績を残してほしいものです。

2022年は堂林翔太も、3・4月に月間打率.319をマークしました。この年の堂林は控えでのスタートでしたが、外野だけでなく一塁でも先発起用されたチャンスで結果を残し、同OPS.913のハイアベレージを残しました。

堂林は新型コロナの影響で6月中旬に開幕となった2020年も、6月の7試合で月間打率.414、7月も同.340をマークしており、波に乗ればロケットスタートが期待できる選手です。

もう1人、見逃してはいけない『春先に強い選手』が松山竜平です。昨シーズンの3・4月は、ほぼ全て代打での出場でしたが、13打数5安打の月間打率.385、同6打点を記録。打率こそ高くはありませんが、2021年は18試合で8打点、2020年は6・7月に26試合で16打点と、抜群の勝負強さを発揮しています。

ちなみに4月1日現在のウエスタン・リーグの成績を見ると、中村奨成が9試合で.353、宇草孔基が8試合で打率.353、韮澤雄也が11試合で.342、林晃汰が6試合で.333をマーク。試合数は少ないですが、中村健人が4試合で打率.417、末包昇大も3試合で6打数4安打の打率.667と、復活に向けて着実に数字を残しています。

2022年に3・4月月間打率.328、2本塁打、18打点、23年も同.307、3本塁打、12打点と、2年連続で好成績を残していた西川龍馬の穴は、ここでも大きな痛手になっていますが、『春先に強い』選手に、まだまだこれからの新戦力、開幕一軍争いから漏れた当落線上の選手と、とにかく誰でもいいので、チームを開幕ダッシュに導くヒーローの登場に期待したいものです。

文:大久保泰伸