快晴の中、ピエモンテ州ヴェナリア・レアーレで107回目のジロ・デ・イタリアが開幕を迎えた。176人の選手が見送りに訪れた大勢の観客に見守られつつ3週間の過酷な旅へと出発。アクチュアルスタートが切られると数分のアタック合戦のあと、ルイ・バレ(アルケア・B&Bホテルズ)、ニコラ・ドゥボーマルシェ(コフィディス)、リリアン・カルメジャーヌ(アンテルマルシェ・ワンティ)、アマヌエル・ゲブレイグザビエル(リドル・トレック)、アンドレア・ピエトロボン(ポルティ・コメタ)、フィリッポ・フィオレッリ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)の6人の先頭グループが形成された。

メイン集団ではイネオス・グレナディアーズとUAEチームエミレーツが1分半程度のタイム差をキープしている。4級山岳と中間スプリントポイントはフィオレッリが、3級山岳はゲブレイグザビエルが、インテルジロポイントをカルメジャーヌが先頭通過し、そのままゲブレイグザビエルと2人で抜け出し次の2級山岳を目指す。メイン集団は無印峠サン・ヴィートでペースを上げ、先頭2人以外のメンバーを吸収。クリストフ・ラポルト(ヴィスマ・リースアバイク)は後方で苦しんでいる。

上りでゲブレイグザビエルに置いていかれたカルメジャーヌは下りで追いつき、2級コッレ・マッダレーナの上りでゲブレイグザビエルを引きちぎり山頂を先頭通過、この日のマリア・アッズーラを確定させた。ラファウ・マイカ(UAEチームエミレーツ)の牽引で長く伸びたメイン集団ではロマン・バルデ(dsmフィルメニッヒ・ポストNL)、テイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアーズ)がついていけない。

下りで飛び出したニコラ・コンチ(アルペシン・ドゥクーニンク)、マキシミリアン・シャフマン(ボーラ・ハンスグローエ)、ミッケルフレーリク・ホノレ(EFエデュケーション・イージーポスト)らがカルメジャーヌに追いつきダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス)が中間スプリントポイントを先頭通過。無印峠サン・ヴィートでジロ初出場のタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)がアタック、ジョナタン・ナルバエス(イネオス・グレナディアーズ)がぴたりと貼り付き、先頭を走るコンチをパスしてフィニッシュ地へと漕ぎ進む。

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【ハイライト】ジロ・デ・イタリア 第1ステージ|Cycle*2024

下りでシャフマンも加わり3人でフラムルージュ、ポガチャルは前に出された状態でゴールスプリントに挑みナルバエスとシャフマンに及ばなかった。ナルバエスはジロ通算2勝目、マリア・ローザに初めて袖を通す。

「このステージに狙いを定めていたんだけれどポガチャルを追いかけた後なので脚がまだ痛い、マリア・ローザを着ることができて夢が叶った」ナルバエス、ステージ勝利後インタビュー

ステージ順位
1 ジョナタン・ナルバエス(エクアドル/イネオス・グレナディアーズ)in 03h 14' 23''
2 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ/ボーラ・ハンスグローエ),,
3 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ),,
4 アレックス・ボーダン(フランス/デカトロン・AG2Rラモンディアル)+ 00' 06''
5 ニコラ・コンチ(イタリア/アルペシン・ドゥクーニンク)+ 00' 10''
6 クインテン・ヘルマンス(ベルギー/アルペシン・ドゥクーニンク),,
7 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー/スーダル・クイックステップ),,
8 アントニオ・ティベーリ(イタリア/バーレーン・ヴィクトリアス),,
9 アッティラ・ヴァルテル(ハンガリー/ヴィスマ・リースアバイク),,
10 ゲラント・トーマス(イギリス/イネオス・グレナディアーズ),,

個人総合順位
1 ジョナタン・ナルバエス(エクアドル/イネオス・グレナディアーズ)in 03h 14' 23''
2 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ/ボーラ・ハンスグローエ),,
3 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ),,
4 アレックス・ボーダン(フランス/デカトロン・AG2Rラモンディアル)+ 00' 06''
5 ニコラ・コンチ(イタリア/アルペシン・ドゥクーニンク)+ 00' 10''
6 クインテン・ヘルマンス(ベルギー/アルペシン・ドゥクーニンク),,
7 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー/スーダル・クイックステップ),,
8 アントニオ・ティベーリ(イタリア/バーレーン・ヴィクトリアス),,
9 アッティラ・ヴァルテル(ハンガリー/ヴィスマ・リースアバイク),,
10 ゲラント・トーマス(イギリス/イネオス・グレナディアーズ),,

ポイント賞
1 ジョナタン・ナルバエス(エクアドル/イネオス・グレナディアーズ)25 Pts
2 リリアン・カルメジャーヌ(フランス/アンテルマルシェ・ワンティ)20 Pts
3 フィリッポ・フィオレッリ(イタリア/VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)18 Pts

山岳賞
1 リリアン・カルメジャーヌ(フランス/アンテルマルシェ・ワンティ)20 Pts
2 アマヌエル・ゲブレイグザビエル(エリトリア/リドル・トレック)10 Pts
3 ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア/VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)8 Pts

ヤングライダー賞
1 アレックス・ボーダン(フランス/デカトロン・AG2Rラモンディアル)in 03h 14' 29''
2 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー/スーダル・クイックステップ)+ 00' 04''
3 アントニオ・ティベーリ(イタリア/バーレーン・ヴィクトリアス),,

チーム総合順位
1 イネオス・グレナディアーズ(イギリス)in 09h 43' 29''
2 デカトロン・AG2Rラモンディアル(フランス)+ 00' 16''
3 スーダル・クイックステップ(ベルギー)+ 00' 20''

リタイア
なし

5月5日(日)第2ステージ
サンフランチェスコ・アル・カンポ > サンチュアリオ・ディ・オロパ
161 km(丘陵 ★★★☆☆/獲得標高 2300 m)

活気ある初日を過ごしたマリア・ローザ争いは、いきなり重大局面を迎える。大会2日目にして、気の早い山頂フィニッシュ!マルコ・パンターニの神話が刻み込まれた聖地オロパが、強豪たちを早くもふるいにかける。

トリノ北部のサンフランチェスコ・アル・カンポから走り出すと、幸いにも、序盤100kmほどは平坦基調。ジロおなじみの「フーガ賞」やら「中間ポイント賞」を狙う者たちにとっては、大切なチャンスとなりそうだ。いまだ出番のないスプリンターたちも、中間ポイントで「マリア・チクラミーノ」に向けたちょっとした戦いを繰り広げてくれるかもしれない。また106.6km地点では20年ぶりに復活した「インテルジロ賞」の、立て続けに登場する2つの3級山岳では「山岳賞マリア・アッズーラ」のポイントを収集したら、いよいよ主導権は総合本命たちの手に渡る。


第2ステージで早々に山頂勝負が行われるのは、1989年以来であり、その舞台にはユネスコの世界遺産に登録された「聖なる山」が選ばれた。サンチュアリオ・ディ・オロパの礼拝堂群へと誘う全長11.8km・平均勾配6.2%の山道は、中盤から一気に難度を増す。途中1.5kmに渡って9.5%の激勾配ゾーンが待ち構え、その後もあちこちで10%超が顔を出す。しかも小さなうねりをはらんだ巡礼路では、勾配は決して安定せず、一定の登坂リズムを保つことは難しい。

2017年大会では、ピンクジャージ姿のトム・デュムランが、ライバルたちを3秒差でかわして栄光をもぎ取った。一方で2014年大会には逃げ切り勝利を見届けたオロパの山だが、この山の名を永遠に轟かせるのは、やはり1999年大会にパンターニが成し遂げた「ラスト8kmで49人ごぼう抜き」。稀代の山岳王の没後20周年を迎えた今年、ジロ伝統の山は、新たな快挙を待っている。

ステージ詳細テキスト:宮本あさか