人手不足が深刻化する昨今、ホテル業界ではフロントに人がいない「無人ホテル」が増え始めている。楽天グループの楽天ステイ(東京都)が3月、箱根・芦ノ湖の元箱根に開業した「Rakuten STAY FUJIMI TERRACE 箱根芦ノ湖」も、同様の手法を取り入れた宿泊施設の一つで、フロントすら設置していない。果たして、利用者は“不便さ”を感じないのだろうか。実際に体験してみた。

 4月中旬。平日にもかかわらず元箱根港周辺では、箱根海賊船に乗船するためインバウンド(訪日客)が続々と集まっていた。そんな観光スポットの至近にそびえ立つのが「楽天ステイ 箱根芦ノ湖」だ。地上5階建てで客室数は24室。全客室から芦ノ湖と箱根神社の「平和の鳥居」を望めるほか、晴れた日には富士山も一望できるため、訪日客からも人気を集めているという。

 小田原駅から箱根登山バスに乗車し、最寄りのバス停「元箱根港」までは、約1時間で到着した。そこから施設までは徒歩約3分でたどり着くことができた。道中にはコンビニもあった。また施設は駐車場も完備しており、電気自動車(EV)の充電に対応した4台含む30台分を駐車することができる。

 施設には、チェックイン時刻の午後3時前に到着したが、ここから早速“無人”の洗礼を受ける。午後3時以降でないと、施設内に入ることもできないのだ。よくチェックイン前に荷物を預かってくれるサービスがあるが、無人ホテルでは利用できないことを覚えておこう。さらに施設では、暗証番号などを入力して解錠する「スマートロック」を導入しているため、事前にメールで送付される「鍵番号」を入力しないと、入退室できない仕組みとなっている。ちなみに宿泊する客室番号などもメールで記載されているため、確認が必要だ。

 鍵番号を入力して解除し、いざ指定された客室へ−。施設内には従業員もいないため、この間、人と全く接触することもなく入室することができた。この“お忍び感”も利用者には好評という。チェックインは、室内にあるタブレット端末を使用する。多言語対応可能で、終盤にはビデオチャットでスタッフと話す場面もあるが数分で終わる。以上で、チェックイン作業は終了。チェックアウト時もタブレット端末から操作するだけなので、気兼ねなく過ごすことができた。