神奈川県内で生息域が拡大傾向にあり、農作物がかじられるなどの被害が発生している特定外来生物のクリハラリス(タイワンリス)を巡り、NTT東日本神奈川事業部(横浜市中区)は調査活動を省力化しようと、人工知能(AI)を活用した調査に乗り出した。

 クリハラリスは横須賀・三浦地域で高密度に生息しているほか、横浜や大和、藤沢市などでも確認されていて、果物や樹皮の食害が出ている。また同社では、ケーブルをかじられて電話やインターネットが使用できなくなる被害も発生しているという。

 同事業部の調査は2月から3月にかけて実施。こども自然公園(横浜市旭区)内の5カ所にボイスレコーダーを設置し、収集した音声データをAIで解析した。クリハラリスの鳴き声を検知し、鳴き声が似ている鳥との識別に成功するなど、実用化に向けた成果を得たとしている。

 調査は対策を模索する県が委託した。県自然環境保全課によると、クリハラリスを含め野生動物の生息状況は把握が難しく、現地調査での人的負担は課題の一つという。鳴き声をAIで検知し、生息状況やその範囲を把握することで、捕獲までにかかる人的負担の削減につながることが期待される。