人気を集める韓国ドラマの中でも、特に充実しているジャンルが「時代劇」と「サスペンス」だ。時間に追われてまだ見ていないドラマがあるなら、今回のゴールデンウィークを利用して一気に集中して見てみよう。その際に絶対の候補にしてほしいのがこの10本だ。夜更かしもオーケーだから、心から堪能していこう。
●『100日の郎君様』(2018年)
〔ここが見逃せない!〕主役のド・ギョンスの演技力が素晴らしい。物語の序盤は悪徳高官による陰謀によって王宮が極度に緊張していく様子が巧みに描かれていた。記憶を失った世子が生まれ変わって村の娘と夫婦になっていくのだが、ペーソスもあって痛快にストーリーを楽しめる。
後半は再び王宮に世子が戻って典型的な勧善懲悪の物語が展開される。王宮で起こった事件を捜査する役人を演じたキム・ソンホもとてもいい味を出していた。
●『恋慕』(2021年)
〔ここが見逃せない!〕韓服がよく似合うロウンのイケメンぶりが目立っていたドラマだ。物語は、王宮では歓迎されない双子が世子嬪(セジャビン/世子の妻)から生まれて、数奇な運命をたどる過程が描かれている。
主人公イ・フィは男装して冷淡な世子になるが、学問の師匠ジウンに徐々に惹かれていく。冷たい態度を見せながら内心では愛情を持ち続けるイ・フィが抱えた葛藤を、パク・ウンビンが繊細な感性で演じていた。
●『新米史官ク・ヘリョン』(2019年)
〔ここが見逃せない!〕朝鮮王朝で最初に採用された女性史官ク・ヘリョンに扮するのがシン・セギョンで、王朝ラブロマンスを共に演じるのが王族イ・リムに扮したチャ・ウヌである。彼は、王位継承権2位の資格を持っているが、どういうわけか恋愛小説家になっていた。
しかし、恋愛経験がまったくないという弱点を抱えていた。そんなイ・リムがク・ヘリョンと出会ってどう変わっていくのか。年上女子の恋の手ほどきを受けるチャ・ウヌが凄く愛らしかった。
●『トキメキ☆成均館スキャンダル』(2010年)
〔ここが見逃せない!〕朝鮮王朝時代に最高の教育機関として名を馳せた成均館(ソンギュングァン)に通う男女4人の青春を描いたドラマだ。登用試験の代筆でお金を稼ごうとするユニ(パク・ミニョン)は、男装して会場に出向くがソンジュン(ユチョン)に不正がばれてしまう。しかし、彼はユニの知恵を活かすことが国のためだと考えるようになった。
こうして、ユニは女人禁制の成均館で儒学生として生活を始める。周囲にいるのは、プレイボーイのヨンハ(ソン・ジュンギ)、アウトサイダーであるジェシン(ユ・アイン)、原則主義者のソンジュンだ。そんな男たちに囲まれながら、男装がいつばれてしまうかヒヤヒヤしているユニの生き方が本当に面白い。
●『ミスター・サンシャイン』(2018年)
〔ここが見逃せない!〕朝鮮半島の近代史をダイナミックに描いた大作だ。イ・ビョンホンが扮する主人公ユジン・チョイは、渡米したあとでアメリカ軍の将校となって祖国に戻り、数奇な人生を歩んでいく。そんな彼を通して衰退していく朝鮮王朝の厳しい現実が壮大に描かれる。また、彼の愛と葛藤が物語の中心になるのだが、共演のキム・テリの演技がとてもいい。
●『シスターズ』(2022年)
〔ここが見逃せない!〕主役のキム・ゴウンの演技力に圧倒されるドラマである。貧しい境遇の三姉妹が物語の中心で、長女のインジュは建設会社の経理担当だ。そして、二女のインギョンはテレビ局の報道記者であり、三女のイネは絵画が上手な高校生となっている。
3人はインジェがからんだ会社の不正経理事件を発端にエリート階級の巨大な闇に吸い込まれてしまう。特に、「謎めいた夫婦」の周囲で起こる奇怪な事件に3人が徐々に巻き込まれていく過程がスリリングだ。
●『悪の花』(2020年)
〔ここが見逃せない!〕平凡な人生を送っている男が、実は平凡とは一番遠いところにいるという恐怖がドラマ全体を支配している。イ・ジュンギが演じるペク・ヒソンは、世の中をだまし続けて暮らしている。そんな男の過去を暴こうとするのが、刑事をしている妻のチャ・ジウォンである。果たして、娘もいて平穏な夫婦の生活がいつ破綻するのか。緊張感がずっと続くサスペンスだ。
●『D.P.―脱走兵追跡官―』(2021年、2023年)
出演者(役名)/チョン・ヘイン(アン・ジュノ)/ク・ギョファン(ハン・ホヨル)/キム・ソンギュン(パク・ボムグ)/ソン・ソック(イム・ジソプ)/シン・スンホ(ファン・ジャンス)
●『未成年裁判』(2022年)
〔ここが見逃せない!〕キム・ヘスが扮するのは、未成年が犯した犯罪を裁く地裁の判事ウンソク。彼女には常識的な付き合いが通用しない。他人と迎合せず、ひたすら犯罪そのものを嫌悪していく。そんな彼女の同僚になる判事が典型的な人情家で、人物描写の対比がとても興味高い。全体的に、未成年を裁く司法の場で加害者と被害者の双方を多角的に描いている。
●『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』(2022〜2023年)
〔ここが見逃せない!〕高校時代に壮絶なイジメを受けたドンウンが、ヨンジンをはじめとする憎き同級生たちに凄まじい復讐を仕掛けていく。不気味なのは、始めるまでの18年間にあらゆる準備を終えていること。小学校の教師になり囲碁の達人になって復讐物語を完成に導いていく。
そのプロセスが用意周到で、標的の4人が徐々に罠にはまっていく展開が見事だ。本当にストーリーが緻密であり、脚本の出来が素晴らしい。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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