この春、新学期のクラス替えを巡って滋賀県内の中学校で起きたトラブルが物議を醸した。いったん発表した後に全クラスの編成をやり直したためだが、神戸新聞社の双方向型報道「スクープラボ」にも、兵庫県内の学校で「発表後に別のクラスに替わった生徒がいる」と投稿があった。県内の教育関係者らに取材すると、対人トラブルなどで配慮を求める保護者の声が増え、悩みつつも対応を模索する学校現場の姿が見えてきた。

 投稿者によると、子どものクラス替えは始業式に合わせて4月上旬に行われたが、その後クラスが変わった生徒がいた。学校側は保護者らに「事務的なミス」という趣旨の説明をしたという。

 「事情はあれど、一度決まったことが変わることにモヤモヤします」と投稿者。「気の合う友人もいれば難しい人もいる。子どもには(学校は)『社会』を学ぶ場と言い聞かせてきたのに、学校がそれを覆した」と思いを記す。

 クラスは通常、どのように編成されるのか。兵庫県教育委員会や神戸市教委などによると、クラス替えは各学校に裁量があり、県内の多くの小中学校は1年ごとに実施する。

 新年度が始まる1カ月ほど前から、担任教諭の意見や過去の担当からの引き継ぎ書などを参考に協議。特に人間関係や過去のトラブルには配慮しているといい、ある教委の担当者は「多感な時期の子どもたちは、ささいなことでも衝突してしまう危うさがある。普段の様子などから、別々のクラスにした方が良い生徒は分けるようにしている」とする。

 阪神間の小学校で勤務する女性教諭(44)は、ここ10年ほどの傾向として、特定の生徒を挙げて「クラスを離してほしい」と要望する保護者が増えたと感じる。「全てを聞き入れるのは無理があり、毎年頭を悩ませている。同じクラスになった場合は席を遠ざけたりグループを分けたりして、トラブルの芽を摘むようにしている」と打ち明ける。

 神戸市立小で38年間教職を勤めた神戸親和大の小坂明教授(初等教育学・教職論)は、クラス替えを「学びの向上と同時に、集団の中で心の発達を促す機会」と位置付ける。

 「新年度の直後はぎくしゃくしていても、対話や交流を通じて良好な関係を築いたり、適切な態度を学んだりすることが期待される」と小坂教授。トラブルが起きそうな生徒同士は学校が把握し、最大限配慮しているとし、クラス発表後の変更については「チェックに不備があったのかもしれないが、今後の影響を考慮した決断だったのでは」と推察する。(久保田麻依子)

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