防災や減災を議論する国際会議「防災グローバルフォーラム2024」が17日、兵庫県姫路市内で開幕する。開会に先立ち、同市神屋町のアクリエひめじで16日、「文化遺産と自然災害」をテーマにしたシンポジウムがあり、専門家らが日本の文化財保護をテーマに講演や意見交換をした。


 同フォーラムは世界銀行が2010年から2年に1回開き、アジアでは初開催。25年に阪神・淡路大震災から30年の節目を迎えることなどから兵庫県が会場に選ばれ、約100カ国から行政関係者や研究者ら数百人が集まる。

 シンポジウムでは、城郭考古学者で名古屋市立大学の千田嘉博教授が、16年の熊本地震で被災した熊本城の修復作業を報告。天守に免震装置を施すなど、今後の災害に備えた修理を進めていることを紹介した。

 姫路市の清元秀泰市長も登壇し、国宝姫路城を念頭に文化遺産の価値を保ったまま観光客を受け入れる方法について意見を交わした。千田教授は「文化財を保護しつつ、観光客の安全も確保することは難しい。最新の技術を利用して安全を保ち、歴史的な価値をいかに生かすかが大切だ」と指摘した。

 同フォーラムは21日まで開かれる。(橘高 声)