43人が火砕流の犠牲になった6月3日の「いのりの日」を前に、今週、かつての被災地で清掃作業が行われます。

今年からマスコミの労働組合が主体的に関わろうとしています。

今年2月、島原市上木場地区の「定点」と呼ばれる場所を新聞労連九州地連の委員長を務める長崎新聞の山口栄治記者が地元の人の案内で訪ねました。

「定点」は雲仙・普賢岳の噴火災害当時、多くの新聞やテレビ局のカメラマンが撮影にあたり、犠牲となった場所です。

火砕流惨事から30年となる2021年には被災したマスコミの車両が掘り起こされています。

安中地区町内会連絡協議会 阿南達也会長
「30年前の教訓を語り継ぐ場所として管理していくつもりです」

当時、マスコミは避難勧告が出されていた場所で取材にあたっていました。

火砕流に巻き込まれた消防団や警察官の遺族や関係者はマスコミが原因で犠牲になったという思いが根強く、保存整備までには長い年月を要しました。

山口さんはマスコミの一人として、もっと積極的に「定点」の保存に関わりたいと、ある提案を持ちかけました。

新聞労連九州地連 委員長 山口栄治 記者
「定点も整備して頂いたものがあるのにどうやって(保存して)いったらいいのか考えるところがあって」「慰霊と反省の場としてマスコミ人が集うというのを、せめて年に1回」

阿南達也 会長(当時)
「それはもう話を聞きながら、一緒にやったほうがいいなというふうには思ってます」

雲仙岳災害記念館 杉本伸一 館長
「今まではこっち(島原)側からだけ(清掃を)呼びかけていたけど、お互いに呼びかけてやっていく」

地元との話し合いを重ね、組合として定点周辺の除草作業を5月11日に行うことを決め、多く人に参加してほしいと呼びかけています。

新聞労連九州地連は地元の住民から当時の話を聞き、「災害報道のあり方を考える
セミナー」も開くことにしています。