渋滞が激しい滋賀県の国道8号で、彦根〜東近江を丸ごと東側へバイパスする新たな道路計画がはじまっています。いったいどんな道路で、開通すればどう便利になるのでしょうか。

渋滞連続エリアを一気にスルー

 滋賀県の国道8号は、大津・草津方面から彦根・長浜・北陸方面への重要な南北軸ネットワークを担っているにもかかわらず、旧態依然とした2車線道路のままです。御幸橋や外町交差点など深刻な渋滞ポイントが複数あり、大きな課題となっていました。
 
 そのため、近江八幡あたりから彦根市内まで、約23.6kmにわたって丸ごと東側へバイパスする新たな道路計画がはじまっています。
 
 いったいどんな道路で、開通すればどう便利になるのでしょうか。また話はどこまで進んでいるのでしょうか。

 このバイパスの概略ルートは、近江八幡市と東近江市の市境あたり(安土・五箇荘エリア)から東へ分岐。愛知川を渡って北上し、新幹線と名神の中間あたりを抜けて、彦根ICの裏山を北へ回り込んで「米原バイパス」へ直結するものです。

 この区間の国道8号は信号が連続するほか、主要渋滞箇所が8箇所存在し、特に彦根市内は、高宮町から外町に至るまで、終日慢性的な渋滞が発生している状況です。また、愛知川を渡る御幸橋も、周囲に橋が無いこともあってボトルネックとなり、各県道からの交通流入も集中して朝夕に大渋滞となります。

 彦根〜東近江バイパスは、市街地を避けた新ルートで、愛知川を新たな橋で渡り、4車線道路で交通容量を確保し、中長距離の通過交通を担うことで、国道8号の現道の生活利用への支障を緩和するねらいもあります。

 この国道8号「彦根〜東近江バイパス」の話が具体化へ動き出したのは2015年。国土交通省 近畿地方整備局は計画段階評価を開始し、まずは「概略ルート」を決定するプロセスへ入りました。

 そこから5年が経った2020年に、「8号現道拡幅」を含む3案の中から、最終的な概略ルートが決定されました。

 概略ルートが決まり、あとは都市計画決定と環境アセスメントの手続きが完了すれば、事業化を待つだけの段階となります。この手続きも、かなり大詰めになっています。

 環境アセスメントの手続きはまず配慮書を作成し、「方法書」を経て実際に評価する「準備書」を作成。住民等の意見を聞いた見解書をもとに「評価書」をまとめる形です。

 彦根〜東近江バイパスは、2024年2月の時点でこの終盤の「見解書」を縦覧している段階。並行する都市計画決定も、2022年に開始し、環境アセスに合わせて完了が見込まれます。つまり、早ければ2025年度にも事業化が期待できるかもしれません。

 長い間、道路が貧弱と言われ続けていた滋賀県の国道8号。南は「野洲バイパス」が工事中で、北は「米原バイパス」も2025年秋に全通見込みとなっています。そこへ24kmにわたる彦根〜東近江バイパスが完成すれば、湖南〜湖北の道路ネットワークはまさに大きく変貌を迎えることとなりそうです。