日本で人気の高い、イッタラの展覧会がいま高知市の高知県立美術館で開かれています。その魅力を、3日間にわたってお伝えします。30日のテーマは『イッタラの歴史』です。

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世界中の人たちに愛され続けるライフスタイルブランド、イッタラ。1881年、フィンランドのイッタラ村にあるガラス工場で生まれました。今回の展覧会は、イッタラ社の創立140年を記念し、フィンランドの国立美術館フィンランド・デザインミュージアムで2021年に開催された展覧会を再構成して東京からスタートした巡回展で、高知は6か所目。なかでも大規模な展示となっています。

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(高知県立美術館 長山美緒 主任学芸員)
「1930年ぐらいからのデザインから現代にいたるまで本当にさまざまなガラス作品を展示している。450点程度の作品。なかなかご覧いただけない作品もあるかと思うのでみなさんに見ていただきたいです」

イッタラの歴史は、伝統的なガラス職人の技術と、時代を象徴する優れたデザイナーによるデザインの融合にあります。

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ブランドを代表するこちらのフラワーベース。フィンランドを代表する近代建築とデザインの巨匠として知られるアルヴァ・アアルトが1930年代にデザインしたものです。現在は「アアルトベース」と呼ばれています。

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そして、こちらのタンブラー。「持っている!」という人や「カフェで見たことがある」という方もいるのではないでしょうか。ボルゲブリック・シリーズです。アルヴァの妻で同じく建築家だったアイノ・アアルトが1932年にデザインしました。『ボルゲブリック』はスウェーデン語で雫が水面に落ちた時に起こる波紋『水紋』を意味しています。どちらのシリーズも、100年近い時を経た今でも、世界中の人たちに愛されています。

(高知県立美術館 長山美緒 主任学芸員)
「身近にある食器やテーブルウェア、日常のガラス器だったりとかそういったところにもデザインというものが組み込まれていて、1930年代に作られたデザインでも古い感じが全然しないんですね。いつの時代でも通用するデザインというものを紹介する機会にもなっているので、日々取り入れたい部分などを発見していただくのもいいのかなと思います」

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フィンランドでガラス産業が始まったのは18世紀、スウェーデンによる統治時代でした。多くの小さなガラス工房が立ち上がり、『吹きガラス』という技術を国内に定着させました。時代とともにさまざまな工場や企業が合併・統合を繰り返してイッタラの歴史をつないできました。

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(高知県立美術館 長山美緒 主任学芸員)
「いろいろな時代を経て140年の歴史を見ていただく形になっている。イッタラ社の歴史ではあるがフィンランドのガラスの歴史でもある。今現在フィンランドのガラス会社で運営されているのがイッタラ社だけ。フィンランドガラスを知るうえでイッタラ社の歴史というのは欠かせないもの」

『イッタラ展フィンランドガラスのきらめき』は県立美術館で6月16日まで開かれています。

県立美術館では関連イベントとして『アアルト・ベース』をデザインしたアルヴァ・アアルトの人生と作品に迫るドキュメンタリー映画を上映します。5月10日・金曜日、時間は午前10時半、午後2時、午後7時の3回です。料金は1500円、チケットの半券があれば1000円です。会場は美術館ホールです。

担当学芸員が見どころを紹介するギャラリートークも行われます。5月26日・日曜日、6月9日・日曜日、午後1時〜2時までの1時間です。また5月18日・土曜日には午後1時から学芸員を講師にサタデーレクチャーも行われます。