日本でも人気の高い、イッタラの展覧会がいま高知市の高知県立美術館で開かれています。その魅力を、3日間にわたってお伝えしています。最終日の2日は『フィンランドデザインと日本とのかかわり』です。

140年以上の歴史を誇るフィンランドのライフスタイルブランド、イッタラ。1940年代にはフィンランドの豊かな自然を背景に、自然をモチーフにした作品も盛んに作られました。花やキノコ、貝殻などを表現したオブジェは日本ではなかなか見ることができないものも多く、貴重な機会です。

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今回の展覧会では会場での写真撮影がOK!お気に入りの作品を写真に収めることができます。

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イッタラ製品のなかでいま、もっともポピュラーな製品が陶磁器の『ティーマ』シリーズです。簡潔な形と色で構成されたデザインでユニバーサルデザインの象徴とされ、さまざまな用途に使えるほか、重ねて収納することもできます。

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このティーマシリーズをデザインしたフィンランドの伝説的デザイナー、カイ・フランクが日本を初めて訪れたのは、1956年。京都の龍安寺の建物と石庭を「今まで見たなかで最も美しいものだ」と表現したといいます。

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(県立美術館 長山美緒 主任学芸員)
「カイ・フランクはとても日本が好きだったデザイナーで、彼が日本に何度か来て日本の文化や芸術にインスパイヤされて作品をデザインしている、どこの部分を彼がインスパイヤされて作品として発表したか、という部分もご覧いただけると思う。フィンランドと日本の交流やデザインの歴史的な部分もご紹介しています」

日本の茶道具や陶磁器に興味を持ち、各地の窯元や陶芸家を訪ねたというカイ・フランク。作品からはその影響をはっきりと感じることができます。この作品は、折り紙の影響を受け制作されました。

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無駄を削ぎ落したデザインを目指したフランクには、日本の繊細な意識や素材への敬意と共鳴するものがあったといわれています。

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1964年には東京の百貨店でフィンランドデザインの展覧会を開催。その後も日本のブランドがイッタラの製品を手掛けたり、日本にオープンした店舗を建築家、隈研吾さんが手がけたりと、かかわりが続いています。

(県立美術館 長山美緒 主任学芸員)
「いまわりと北欧ブームで、フィンランドやスウェーデンの雑貨やデザインが好きな人がたくさんいると思う。でも実は日本人が北欧が好き、あちらのデザインに惹かれるのはいま始まったことではなくて、1950年代ぐらいにはすでに日本人でそういったところに着目して、北欧デザインが好きということを感じていた人がたくさんいた。そういったところを今回資料としてみなさんにご紹介する機会にもなっています」

『イッタラ展フィンランドガラスのきらめき』は県立美術館で6月16日まで開かれています。