国連安全保障理事会は28日、北朝鮮制裁委員会の専門家パネル(8人)について協議する緊急会合を開いた。制裁状況を監視する役割があり、4月30日までの現在の任期を1年間延長する決議案を否決した。常任理事国のロシアが拒否権を行使した。日本、米国、韓国など13カ国が賛成。中国は棄権した。

 安保理筋によると、ロシアは制裁措置などに期限を設けるよう要求していた。日本などは要求は受け入れられないとしていた。

 専門家パネルが任期切れとなった場合は、安保理として制裁状況の監視が困難になる。

 専門家パネルは北朝鮮の核実験を受けて2009年に設置。安保理が北朝鮮に科した制裁の履行状況を監視し、報告書を委員会に提出している。任期は毎年延長されてきた。

 専門家パネルは、今月20日に年次報告書を公表した。北朝鮮が核分裂性物質を生産し、核開発を進展させているとして「安保理制裁違反を続けている」と指摘。サイバー攻撃で得た計約30億ドル(約4500億円)の資金が核などの大量破壊兵器の開発に充てられていると分析した。