【トリノ、東京共同】イタリア・トリノで開催の先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合は30日、二酸化炭素(CO2)の排出削減対策がなされていない石炭火力発電を2035年までに段階的に廃止することで合意し、共同声明を採択した。

 G7の共同声明で石炭火力の廃止年限が明記されるのは初めて。ただ声明は廃止時期に関し「産業革命以来の気温上昇を1.5度に抑える(パリ協定の)目標に沿った時間軸」との表現も併記。廃止時期の明記に難色を示した国にも石炭火力継続への道を残した形。欧米との姿勢の違いが鮮明となった日本の今後の対応が焦点になりそうだ。

 議長国イタリアの担当相は会合後の記者会見で、35年までの段階的廃止で合意したことについて「初めて目標への道筋が示された」と成果を強調した。斎藤健経済産業相は報道陣の取材に応じ、石炭火力廃止を巡り「各国で道筋はさまざまだ」とした上で「(G7での)合意内容に沿って取り組む」と述べた。

 多くの原発が停止する日本の電源構成は、火力発電への依存度が高く発電量の7割を占める。