病気や災害などで親を亡くした遺児らに「あしなが育英会」が給付する奨学金の資金が不足している。困窮する遺児家庭が増えて申請者は急増しているが、半分以上に支給できない状態だ。20日から京都市内で遺児たちによる募金活動が始まる予定で、事務局が協力を呼びかけている。

 育英会が2024年の高校奨学金申請者のデータを分析したところ、極めて生活が厳しい世帯が多かった。また、遺児の保護者の半数以上が「病気・病気がち」と回答。残されたひとり親が心身を病んだケースをはじめ、高齢の祖父母が保護者となっていることなどが理由とみられる。

 一方、寄付で賄われる奨学金の資金は不足している。23年度の高校奨学金は2629人の申請があったが、1461人(55・5%)に支給できなかった。今年も3月時点で申請者1800人のうち985人(54・7%)に支給できていない。

 資金を集めるため、あしなが学生募金事務局は20、21、27、28日に京都タワー前とJR桂川駅、四条河原町で街頭募金活動を行う。事務局京都ブロックマネージャーで佛教大学3年保田稜馬さん(20)=北区=は「一人でも多くの遺児を救いたい」と協力を呼びかける。

 保田さんは両親の離婚後、母の実家がある和歌山県高野町で生活し、中学2年の時に母を病気で亡くした。歴史が好きで進学を希望していたが「祖母は高齢でお金もなく、高校は無理」と諦めかけたが、叔母が奨学金につないでくれて進学できた。

 今は学芸員を目指して学び、奨学金を受ける遺児の集いの場づくりにも携わる。奨学金は金銭面だけでなく遺児の心の支えにもなっているといい、「1円でも寄付していただければうれしい」と話している。

 郵便振替口座「00140−4−187062 あしなが学生募金事務局」や、あしなが育英会ホームページからも寄付できる。