営業の仕事に携わっている方であれば、「しんどい」と感じる場面はいくらでもあるはず。焦ることや不安になること、「いまのままでいいのか」と疑問に感じることなど、営業をしていればさまざまな葛藤と戦わなければならなくなるわけです。

「営業の悩みを0にする」をミッションに掲げ、企業の営業支援を行なっているという『営業がしんどい 売れなくて悩む営業が今日からできること』(笹田裕嗣 著、日本実業出版社)の著者も、営業について相談を受ける機会が多いのだとか。

では、営業力をつけるためにはどうすればいいのでしょうか? そもそも、営業力とはどう定義づけられるものなのでしょうか?

営業力とは「売れる習慣」を持つことだと私は考えています。安定して売り続けられる営業は、成果を出せる習慣が身についています。

あなたが営業に悩んでいるのであれば、トークよりもツールよりも、まずは成果を出すために必要な良い習慣を見つけることと定着させることが大切です。(「はじめに」より)

注目すべきは、「がんばっているのに結果につながらない」と悩んでいるのだとしたら、がんばるポイントを間違えているのかもしれないという著者の指摘。売れる営業は、優先順位を見極め、つねに成果につながる行動をしているというのです。

立場を問わず、すべての営業に必要なのは、自分自身をマネジメントする=やるべきことを選定・判断するスキルです。(「はじめに」より)

つまりは成果を出すために「いま、なにをすべきか」を正しく判断できるようになることが重要だという考え方。そのためにやるべきことを明かした本書のなかから、きょうは第2章「営業で成果を出すために必要なこと」に焦点を当ててみたいと思います。

営業成果は習慣が9割

著者は研修やセミナーにおいて、「営業は習慣が9割」であるとよく伝えているのだそうです。「〇〇は□□が9割」という表現は、「その分野やテーマにおいて、もっとも重要なものはなにか」「結果に大部分のインパクト・影響を与えるものはなにか」ということですが、営業においてそれは「習慣」だというのです。

一時的に売上を伸ばすことは意外と簡単ですが、営業としてより重要なのはその成果を継続できるか否か。そんな成果の安定性・継続性を高めるためには、「売れる習慣」を身につけていることがもっとも肝心だということです。

人との関係性は習慣で決まります。「人は見た目が9割」といわれますが、これは第一印象を決める要素は、視覚情報(目から入ってくる情報)である見た目と、聴覚情報(話し方や声などの耳から入ってくる情報)で9割が構成されるという、メラビアンの法則に基づくものです。話の内容よりも見た目や声や話し方の雰囲気で印象が決まってしまうということを意味しています。(45ページより)

加えて人間は、思い込みの生き物でもあります。そのため、第一印象で「この人いいな」と感じれば、その人の話す内容を肯定的に受け取りたくなることでしょう。もちろん、逆もまた然り。だからこそ、営業をしているのであれば、第一印象は重要だというわけです。

たとえば、第一印象をよくするための重要なポイントのひとつに、清潔感を身につけることがあります。いうまでもなく、そこで大切な意味を持つのは、普段から自分の身だしなみに気を配り、「自分がまわりからどう見られているか」をきちんと認識していること。そうすれば、相手から好印象を持ってもらえる可能性が高まるからです。(44ページより)

よい習慣を持つことが未来の自分を助ける

営業は良質な習慣を持っていれば、成果を変えることができます。

良い習慣は、身につけるまでには時間がかかります。けれど一度身につけてしまえば、それはあなたにとって当たり前の行動や考え方となり、長きにわたり自分を救ってくれる武器になります。(47ページより)

きょうの成果は、過去の積み重ねの産物。「きょう、めちゃくちゃがんばったから受注や売上が爆増する」などということは、営業では奇跡に近いと著者は断言していますが、たしかにそのとおりでしょう。

例えば、弊社のような営業代行やコンサルティングで、一度のご契約で数百万円を法人に決済していただくとなると、たとえ相手が社長であったとしても、「初めまして。こんにちは。契約します」とはなりません。

初回の商談を行ない、相手が他者との比較や社内状況の把握、関係各部署との調整などを行なって、そこからまたいくつか質問や課題が生まれ、それらを解消し、乗り越えて初めて成約につながっていきます。(47ページより)

当然ながらこれは著者の会社だけの話ではなく、一般的な常識であるといえます。そして、営業としての自分自身がお客様との関係性を高められてこそ、「高いお金を払ってでも御社にお願いしたい」といわれるようになるわけです。(47ページより)

「売れる習慣」をつくるためのスキル

マネジャーやプレイヤーなどの立場を問わず、すべての営業に必要なのは「マネジメントスキル」だと著者は考えているのだそうです。つまり、成果に近いアクションを明確にして優先順位を定め、実行するということ。もちろんそれはマネジャーのみならず、プレイヤーにおいても求められる動きであり、やるべきことだともいえるでしょう。

ドラッカーは、マネジメントを「組織を機能させること」と定義していますよね。営業組織における「機能している状態」とは、シンプルに言えば「成果が出ている」状態です。もう一歩踏み込んで言えば、「成果を出し続けている状態」を作り出せているのが理想です。営業における成果は、目標達成です。(54〜55ページより)

マネジャーは部下という「ヒト」、ツールなどの「モノ」、予算である「カネ」という経営資源を管理・活用する立場。プレイヤーも同様に、「時間」「情報」というリソースを有しています。つまり自分という経営資源を最大限に活用し、成果を最大化し、目標を達成すること。それが自身の役割であり、課せられた職務であり、責任だということ。だからこそ、マネジメントスキルは全員が持つべきスキルなのだと著者は主張しているのです。(54ページより)


営業力を高めるために必要なことが、ぎっしりと詰まった一冊。できそうなこと、気になることとから試してみれば、確実な営業力を身につけることができるかもしれません。

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Source: 日本実業出版社