コンテンツライティングからプロダクトデザインに至るまで、AIはすでに社員の日常業務の中核となる仕事の「流れ」を変えつつあるでしょう。

しかし、AIが職場全体に与える影響についてはどうでしょうか。おそらく仕事を高速化、効率化してくれるでしょうが、それだけではありません。AIは、企業にとってもっとも貴重な資源である「時間」への取り組み方をも変えるのではないでしょうか。

ビジネスリーダーが掘り下げはじめたばかりの分野のひとつが、会議の頻度、効果、目的、参加者の集中力に対してAIがどのような影響を与えるかということです。

もちろん、AIが導入された未来を覗いて会議がどうなっているかを見てみることはできません。結果は無数に存在します。

しかし、AIは、技術革新が時間効率化の方法をどのように可能にするのかをビジネスリーダーが考えるきっかけとなっています。

AIの導入は会議を減らすことになるのか?

AIが会議の頻度と性質の双方に与える影響は、組織によるAI技術導入の方法によって大きく異なることになります。

企業がワークフローにAIを統合する初期段階において、戦略の議論や実装の監督、問題のトラブルシューティング、AIシステムとビジネス目標の整合性確認のために会議が増えるのは自然なことになるでしょう。

これはどんなテクノロジーを導入する際にも言えることですが、特にAIは微妙な意味合いを持つため、倫理的な考慮事項への対処やAIシステムのバイアスについての議論、労働者への全体的な影響の判断においては極めて重要になります。

その反面、予定される会議の総数はAIにより減るかもしれません。定型的なタスクやプロセスが自動化されることで、状況の更新やプロジェクトの進捗など、通常は定期的な業務共有の場で発表されるようなことをAIに報告させることができます。

そのため、グループが集まる際には、もっと重要な議論を優先させることができるようになります。その結果、会議で疲弊してしまうことは軽減され、チームの生産性と活力が向上するでしょう。

予定という話で言えば、筆者の想像では将来、AIのアプリケーションが会議のパターンを分析し、最終的には適切な出席者を提案することになります。これは、組織レベルで時間の節約と効率を重視する企業にとって大きなメリットです。

人間の専門知識と綿密な評価が今後も不可欠であることに変わりはないため、AIの知見を戦略立案や事業のプロセス、イノベーションにどのように統合するのが最善なのかを議論する必要があります。

戦略レベルで見れば、AIを活用して職場の既存のワークフローにおける負荷を軽減する企業がもっとも生産性と速度を高めることができます。

チームが必要なときにもっと簡単に会議を行なえるようにするソリューション(組織全体で都合のいい時間帯を見つける、緊急性のない会議の優先順位を下げて重要な会議に置き換えるなど)は、会議の頻度から質へと会議文化のシフトを促すでしょう。

AIが会議文化に与える影響

なかには、「近い将来AIが会議に代理で出席してくれるようになるかもしれない」と考えている人もいます。

自分の代わりにボットを会議に出席させるというと、「もう会議に出なくていいんだ!」と最初は魅力的に聞こえるかもしれませんが、会議文化に悪影響が及ぶことになります。

無機質かつ、出席する人とテクノロジーに取って代わられる人を決定することでヒエラルキーを押し付けます。AIは人間性を置き換えるのではなく、人が達成できることを共に向上することを目指すべきです。

AIを導入したコミュニケーション・プラットフォームによって、非同期的な会話が強化され、不必要な会議は行なわずともチームメンバーが協働したり最新情報を共有し合ったりすることがもっと簡単になります。あるいは、チームメンバーのひとりの都合で会議の予定を変更しなくてもよくなります)。

このようなプラットフォームによって、議論の要約やアクションアイテムのまとめ、さらには必要であれば最適な会議時間の提案も可能となり、リアルタイムのやり取りの必要性を最適化できます。

実際に一堂に会する必要があるとき、AIが果たす類まれな役割というのは、代わりに会議に参加するということではなく、会話の効率化とともに意味のあるアウトプットの増加を可能にするということなのです。

会議の参加者全員が議論に積極的に参加し、メモ取りなどの雑務よりも共同作業や創造的なアイデアのブレインストーミングに集中することができたら、どれほど事が進むか考えてみてください。

適切なバランスを見つける

最終的に、AIで会議が増えるか減るかは、どのように導入され組織のプロセスに統合されるかにかかっています。

AIはワークフローを合理化し、特定の種類の会議、特に情報共有や状況の更新に重点を置いた会議の必要性を減らす可能性を秘めています。しかし、AIが新たな働き方を促し予期せぬ課題をもたらすにつれて、戦略や倫理、人間とAIのコラボレーションに焦点を当てたさまざまな会議の必要性も生じるかもしれません。

組織は、膨大な量のデータを処理・分析するAIの能力を活用することで、さらに多くの情報に基づいた意思決定を迅速化し、忙しいだけの作業は削減することになるでしょう。これによってスケージュールが完全にすっきりするわけではもちろんありませんが、長時間検討を行なうような会議の必要性は減るかもしれません。

AIは人間同士のやり取りの必要性をなくすのではなく、むしろそこを優先できるようにしてくれるのです。これは、チームがリモートで分散するようになるとともに、社員同士がもっと存在感を発揮して関与し合えるようにする方法を企業が模索している今、特に期待されるところです。

組織にとって重要なのは、効率を最大化すると同時に有意義なコミュニケーションができる文化を育むような方法でAIを活用することであり、不必要な会議は減らす一方で必要な議論では生産性が高まり付加価値の高い活動に集中できるようにする、ということです。

つまるところ、十分に気を配り、時間を最大限に活用する方法について批判的に考える必要があるのです。

AIが生産性、効率、速度を向上させる強力なツールになることは間違いありませんが、新しいツールを導入する際には会議を活用する方法やタイミングについて一層目的意識を持つ必要があるでしょう。

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Source: futurism.com

Originally published by Fast Company [原文]

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