ライフハッカー・ジャパンとBOOK LAB TOKYOがコラボ開催するトークイベント「BOOK LAB TALK」。第37回目のゲストは、『Live My Life 自分らしく働くための 39のヒント』の著者・田中美和(たなか・みわ)さんです。

リモートワークや副業など、フリーランスはもちろん会社員として働く人にもさまざまな選択肢があり得る今、より「自分らしく」働くためにはどうすればよいのでしょうか。

働き方指南のプロフェッショナル」として知られる田中さんが強調するのは、「自分の強み」を知ることの重要性。「ライフラインチャート」などの具体策を交えて、より効果的な自己分析の方法をレクチャーしてくれました。

実は自分の「強み」こそ気づきにくい

『日経ウーマン』の編集記者としてキャリアをスタートしたのち、2013年に人材エージェント「Waris(ワリス)」を立ち上げ、フリーランスとして働きたい女性と企業を仲介する事業をはじめた田中さん。

11年前と比べると、この数年で働き方をめぐる環境は大きく変わり、会社員とフリーランスの境目があいまいになってきたと話します。

「時間と場所にとらわれない働き方を、会社員の方も実現できるようになり、副業を解禁する会社も多くなりました。

働き方の選択肢が広がった分、かえって悩みも増えてきているのかなと思います」(田中さん、以下同)

「自分らしい働き方」は「自分らしい生き方」につながりますが、それを実現するのは簡単なことではありません。田中さんによると、その鍵を握るのが「自分の強み」を知ることです。

「20年以上にわたって『働き方』を仕事にしてきた私の経験からすると、強みがない人なんて一人もいません。それなのに、6割から7割の方は『自分には強みがない』と考えています」

田中さんいわく「強み」とは、自分が得意なことや、あまり苦労せずに発揮できるスキルのこと。

しかしそれは息を吸って吐くように自然にできてしまうため、自分ではそれが強みだとは気づかないことが多いといいます。

「私自身、人と会うのも話すのも好きなのですが、それが自分の強みだとは認識していませんでした。でも、クリフトンストレングス(旧ストレングス・ファインダー)という診断テストを通じて、社交性が自分の強みであることに気づいたんです。

自分の強みを知ることは、自分に合った仕事を見つけやすくなるだけでなく、自信を持って自分らしく働くことにもつながります

忙しい日々のなかでも、一度立ち止まって『私はどんな人間なのか』『私の手の中にあるものは何なのか』を見つめ直す時間を取ることが大切です」

キャリアや経歴よりも大切な「自己分析」のポイント

田中さんが指摘するように、慌ただしい日常のなかで、まだ気づいていない自分の強みを発見するのは難しいもの。一体どうすればよいのでしょうか。

ファーストステップは「自己分析」。特に注目すべきは表面的なキャリアや経歴ではなく、自分自身の内側だと言います。

「内的な個性・特性・資質に着目するのがポイントです。

新しいことに取り組むのが好き、知的好奇心が旺盛、といった自分の内なる部分を捉えていくと、より本質的な強みが見えてきます

自分を深く知るためには、「仕事観」の把握も重要です。仕事に何を求めるかという価値観は人によってさまざまで、経営者になりたい人もいれば、仕事以外の「ライフ」とのバランスを大事にする人もいます。

そう考えると自分らしく生きるためには、「必ずしも好きを仕事にする必要はない」と田中さんは語ります。それよりも自分自身の価値観に意識的になることのほうが大切なのです。

ライフラインチャートで「充実度」を振り返る

田中さんは、より具体的なメソッドとして、人生の充実度を振り返る「ライフラインチャート」をつくる、という方法を提案しています。

ライフラインチャートとは、横軸に年齢、縦軸に当時の充実度を入れ、上がり下がりを折れ線グラフで表していく自己分析ツール。人生の充実していた時期や、逆に充実していなかった時期を振り返ることで、自分自身の価値観や「自分らしさ」に気づくことができます

充実している時期というのは、自分らしさを発揮できているとき。自分がワクワクする、楽しいと感じるのはどういうときなのかを考えて、そこに共通するキーワードを探っていきましょう。

そのキーワードをしっかり再現していくことが、充実感やモチベーションの維持につながります」

こうした「自分の振り返り」は、就活のとき以来という人も多いはず。「社会人になっても自己分析は必要であり、これからの仕事と人生を考えるヒントになる」と、田中さんは語ります。

「ライフラインチャート」の書き方や、チャートを使った分析の実例は『Live My Life 自分らしく働くための 39のヒント』に詳しく紹介されています。ぜひ参考にしてみてください。

キャリア形成は「Will・Can・Must」で整理

「自分らしい働き方」を実現する順番としては、「まずは自分を知り、そのうえで将来なにがやりたいのかを考えてほしい」と田中さん。とはいえ自分を深掘りしても、やりたいことがなかなか見えてこない場合もあります。

そんなときはキャリア形成の自己分析手法の1つ、「Will・Can・Must」を使って整理するのが良いそうです。

Will:自分がどうありたいのか(望む将来像)

Can:自分が今できること(保有スキル)

Must:自分がやらなければならないこと(義務)

「Willが思い浮かばないときは、しばらくCanとMustに集中するのも1つの方法」と田中さんは語ります。

自分が得意なことや、仕事・生活上の必須タスクをしっかりこなすことに集中していると、自然とWillが見えてくることがある──。「Willを探すことに囚われすぎるのも良くない」というアドバイスにハッとしました。

「材料集めの時期」と割り切ってみるのもいい

Willがわからないとき、CanとMustに集中することがなぜ有効なのか。それは、自分自身のやりたいことを探すための「材料集め」になるから、そう田中さんは語ります。

「尊敬しているキャリアカウンセラーの方が、『冷蔵庫の中に材料がなければ料理はつくれない。まずは材料を手に入れるところからはじめましょう』と仰っていて、すごくいい言葉だなと思いました。

やはり止まったままでは、物事はなかなか前に進みません。今回のようなウェビナーを視聴してみたり、旅行したり、散歩したり、会いたい人に会いに行ったり。まずは材料集めの時期と割り切って、可能な範囲で動くことからはじめるのもいいと思います」

セッションの最後、「自分らしく働くには?」という問いに、「自分の強みを見つけ、活かすこと」と答えてくれた田中さん。

変化の激しい社会において自分を見失わず、後悔のない選択をするためには、自分を知ることほど大切なことはありません。

プライベートを含めて人生全般をキャリアと捉え、折に触れて自分を振り返ってみてほしい」というアドバイスに、あらためて自分のキャリアと向き合うヒントをもらいました。

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https://www.lifehacker.jp/regular/book_lab_talk/ 「BOOK LAB TALK」の記事を見る

Source: Waris, BOOK LAB TOKYO