熊本県を象徴する景色である、阿蘇の草原。夏には緑が波打つこの場所は、草原特有の植物や生き物の宝庫です。その草原を維持するために、毎年春に行われるのが野焼きです。阿蘇の草原と野焼きって何? 阿蘇ではどんな体験ができるの? 春先の、野焼きが終わったばかりの現地を訪れて調べてきました。
阿蘇の草原ってどう保たれているの? 草原学習館で聞きました
阿蘇の草原は、阿蘇五岳と呼ばれる山々のすそ野とカルデラ周辺部にあります。緑が波打つ真夏の風景は、皆さんも映像などで見たことがあるでしょう。この草原は、人の手が入っていない自然とは違い、農業や畜産など、人の営みと結びついて保たれている自然なのです。特に大切なのは、毎年春に行われる野焼きなのだとか。そんな草原の保全活動について学べる、草原学習館を訪れました。
館内には、阿蘇のカルデラの大きな模型があります。それを見ながらお話をしてくれたのは、阿蘇グリーンストックの増井太樹さん。阿蘇グリーンストックは、阿蘇の草原を守るボランティア活動に取り組んでいます。
カルデラの直径は約20㎞で、その中に4万7千人の人が住んでいます。カルデラの中は、水田も多い米どころで、昔は水田で働く牛馬が、草原の草を食べていました。しかし、農業の機械化にともなって、家畜の数は減少。牛馬に食べられなくなった草原はどんどん草木が成長して、やがては森になってしまいます。それを防ぐために毎年行われているのが野焼き。草原に火をつけることで森になるのを防いでいます。野焼きのあとすぐに、草の芽吹きがはじまり、夏には緑の草原になるのです。
実は、昔は日本の国土の10%は草原でした。しかし、農業や畜産の機械化で徐々に利用されなくなり、森になったり住宅地になった結果、今では、草原は国土の1%まで減少。多くの動植物が暮らす阿蘇の草原を守るには、私たちがそこで遊んだり、草原に生えるススキなどの植物をえさにしているあか牛を食べることが大切なのです。
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気球に乗って、草原のうえを空中散歩しよう
阿蘇のカルデラの全貌を知るには、空から眺めるのがいちばん。というわけで、人気なのが気球体験です。気球でのフライトは、朝日が昇る前から準備がスタート。早朝が一日のうちでいちばん風が穏やかな時間帯だからだそう。大きな気球が広げられ、ゴーッというバーナーの音とともにぐんぐんふくらんでいきます。ゴンドラに乗り込むとふわりと浮き上がって、ゆっくりと上昇し、上空40mへ。朝日に照らされる阿蘇のカルデラが、目の前に広がります。
photograph:Isamu Yamamoto
photograph:Isamu Yamamoto
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草原のパノラマを、馬と一緒にトレッキングしよう
草原に吹く風やざわめきを、間近に感じたいなら、乗馬体験がおすすめ。草原は牧野と呼ばれる地域資源でもあるため許可のない立ち入りは禁止されています。そんななかで、牧野の中で、乗馬ができるのが夢・大地グリーンバレーです。
夢・大地グリーンバレー
℡090-1773-3366
熊本県阿蘇市湯浦1674-18
料金/ロングトレッキング(約60分)¥13,200〜
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赤身たっぷり! 草原でのんびり育ったあか牛をいただく
野焼きが終わったばかりの草原で、今回特別に企画されたのが、草原でのアウトドアダイニング。熊本市内で薪や炭火を使った料理を提供するレストラン.know(ノウ)の鍬本峻さんによる、スープから前菜、薪を使ったバーベキューなどの全7品をいただきました。
※時間帯、メニュー内容は体験時のプランと異なります。
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今まで知らなかった阿蘇のこと、草原の過去と未来……。そんなことに思いを馳せる旅になりました。食やアクティビティ、美しい風景などさまざまな魅力が詰まった阿蘇地方。GWや夏休みに、出かけてみませんか?
text:Ema Tanaka
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