静岡県内唯一の屋内スケートリンクが5月、半世紀の歴史に幕を下ろします。背景にあったのは私たちの生活にも直結する“電気料金”でした。

 施設の利用者から「寂しい」と声が上がったのは、浜松市中央区にある「浜松スポーツセンター」です。

 1966年にオープンし、県内唯一の屋内スケートリンクとして、長年にわたって県民に愛されてきた施設ですが、5月6日で一般向けの営業を終了することを発表しました。(クラブチームなどの利用は5月末まで)

 経営に重くのしかかったのは、電気料金の値上がりです。

浜松スポーツセンター 鈴木直樹代表取締役社長:
「水銀灯もあるんですが最も電気代がかかるのがこの冷凍機になります。合計5台あります」

Qスケートリンクを冷やすために使う?
「そうです、スケートリンクの氷をつくるための冷凍機です。」

 スケートリンクにとって欠かすことのできない冷凍機。こちらの施設では電気代の9割を冷凍機が占めています。

浜松スポーツセンター 鈴木直樹代表取締役社長:
Qこの部屋に入ってきても大分温度が違う、涼しいと感じる、リンクを冷やすのには電気代がかかる?
 
「かかります、この氷を冷やすためと同時にこの館内を冷凍庫のように冷たくしないと氷が溶けてしまうので、そこにかかる電気代はかなりの量になる。元々冷凍機にかかる電気量自体は毎年同じ量なんですが同じ電気使用量であっても単価が高騰したために例年の2倍、3倍ぐらい電気代がかかっている。(単価が高騰し始めたのは)3年4年ぐらい前から。同じ使用量であっても倍の電気代ということでそこは経営的な面では非常に頭が痛かったです」

 冷凍機は年間を通して作動し続けないといけなく、ここ数年の電気代の上昇がスケートリンクの営業継続断念という決断につながりました。

 ところが、「県内唯一の屋内スケートリンク」という存在は利用者にとって大きいようで・・・

利用者(静岡市 40代):
「10回ぐらいは来ているんですけど、毎週静岡市から来ているので残念、無くなっちゃうのが。今度は豊橋の方にあると言って豊橋の方に行かないといけないので大変」

利用者(三島市 19歳):
「もう閉館だと聞いて、滑りたくて来ました。こんなに大きなリンク静岡県内無いと思うので悲しい。」

 5月以降、浜松スポーツセンターは新たに建て替えが行われますが、スケートリンクはつくられません。

浜松スポーツセンター 鈴木直樹代表取締役社長:
「先人の方がつくってくれた施設でもあり、地域の皆さんに支えらてここまでできたスケート場なので閉館に関しては非常に申し訳ないと思うが、皆さんへの感謝と共に閉館せざる(を得ない)我々の理由もぜひご理解いただきたい。」

 施設の閉館に直結することとなった電気料金。中部電力と東京電力では5月も価格が改定され、それぞれ平均的な家庭で500円以上値上がりとなる見通しです。