激安の弁当屋さんは、お金のない人たちにとっては「救世主」になります。しかし、今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』で、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが案じているのは「果たして健全な経済活動であるといえるのか」という点のようです。

『190円のり弁当』誕生!お客さまの「嬉しい!」を感じるために……

「早くて!! 安くて!! 大満足!!」というキャッチフレーズを掲げたお弁当屋さんが、神奈川県にあります。

2023年、物価急上昇の中、あり得ない安さのお弁当を販売するお店が誕生しました。

「のり弁当190円(税抜き)」「焼きそば190円」「かつ丼290円」「アジフライ弁当290円」「そぼろ丼290円」「みそかつ弁当390円」など。

他に、「ホイコーロー弁当」「チキン南蛮弁当」「ハンバーグ弁当」「しょうが焼き弁当」「からあげ弁当」など、約40種類の中から、日替わりで10種類ほどを販売しています。

また、金土日はカレーもあり、190円。

毎日約700個のお弁当を作っています。

なぜ、ここまで安くしているのでしょうか。

いま、ほか弁屋さんでも短期間の値上げが続く中、これほど安いお店は、地域の人びとにとって救世主のような存在。

実質賃金の上がらないほとんどの人は、節約に追われる生活を強いられているので、こうしたお店ができることは、非常に有難いのです。

店主は、生きづらい社会を嘆き、どうすれば人びとを笑顔にできるのか、何をすれば喜んでもらえるのかを考え、激安のお弁当屋さんを作ったのです。

「高くもなく、お店が潰れない程度に、安過ぎもしない値段にしたい。お客さまに嬉しいと思って欲しい」と店主は言いますが、充分に安過ぎるのではないでしょうか。

いま飲食店では、見ためばかりで、ぼったくりのような食べ物がたくさん出てきています。

そんな悪どい商売とは対極にある、真の商売人だと言えるのではないでしょうか。

人を喜ばすことに心血を注ぐ、誇り高き商売人だとも言えます。

しかし、気になることがあります。

生活苦に喘ぐ人が多い、いまの日本には、こんな商売人が必要なのですが、はたして健全な経済活動だと言えるのでしょうか。

店主の自己犠牲の上に成り立っている、激安店が多いのです。

質素な生活をしている店主もいれば、お店以外でアルバイトをしている店主もいます。

お客さまに喜んでもらうために、苦しくても値上げをしないのです。

お客さまが笑顔になることを店主は喜んでいるのですが、お互いが本当の笑顔になれる商売こそが、健全で正しい経済活動なのです。

素晴らしい商売人で、素晴らしい人財ですが、できることなら、安さを売りにするのではなく、儲かる手立てを考えて欲しいと思います。

こうした商売によって、助ける人と助けられる人がいる、現在の状況を「贈与経済」と呼んでいます。

経済社会の多様化が進むことで、見返りを求めずに、人にモノやサービスを与える、新しい仕組みができつつあるのです。

見方によっては、現代に必要不可欠な活動ですが、決して正しい経済活動とは言えません。

このような歪んだ社会構造を無くすことが、人びとの暮らしには重要なのではないでしょうか。

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