2024年5月3日、澎湃新聞は、河南省で90年の歴史を持つ大学のホールで火災が発生し、重要な文化財の損害に悲痛の声が寄せられていることを報じた。

記事は、同省開封市にあり全国重点文物保護単位に指定されている河南大学明倫キャンパスの大礼堂で2日夜に火災が発生したと紹介。同大学が3日に報告を発表し、現地時間2日午後11時20分ごろに修繕施工中だった大礼堂で火災が発生し、消防隊の活動により鎮火したことを明らかにしたと伝えた。なお、死傷者はいなかったという。


また、同大学が報告の中で「今回の火災について本学は非常に心を痛めており、自責の念に苛まれている。学生および教員、交友、本学に関心を寄せる社会各界に対して深くおわびする」と謝罪の姿勢を示したことを紹介した。

その上で、大礼堂について1931年に着工して34年に完成し、敷地面積3932平方メートル、延床面積4687平方メートルで、3000人を収容可能だと説明。極めて高い実用性とともに芸術的価値を備えており、近現代史の重要建築として2006年には第6次全国重点文物単位に指定されたとしている。

記事は、火災発生後に大学の関係者がSNSを通じて「泣いた。流した涙で火を消そう。今夜は眠れそうにない。心の安らぎも得られない」といった悲しみのメッセージを発信しており、ネットユーザーからも「われわれ河南大学の人間にとって精神のよりどころだったのに」「大学を代表する建築であるだけに、本当につらい」「河南大学にとって大礼堂は、中国にとっての故宮博物院だ。河南省の近現代高等教育の変遷を見届けてきた存在だったのに」といったコメントが寄せられたことを伝えた。

大学の関係者によると、大礼堂は4カ月近い修繕工事が続いており、周囲には工事用の防護ネットが張られていた。出火当時、施工関係者が内部で休息していたようだが、詳しい出火原因は分かっていないという。(翻訳・編集/川尻)