せっかくの変身に「微妙……」
マンガ『ONE PIECE(ワンピース)』には主人公であるモンキー・D・ルフィの「ゴムゴムの実」をはじめ、さまざまな能力を持った「悪魔の実」の使い手が目立ちます。しかし能力者にもかかわらず、「悪魔の実」の能力者であることを忘れてしまうほど個性的なキャラクターも登場していました。
●「フクフクの実」錦えもん
ワノ国の侍で赤鞘九人男のひとりである錦えもんは、「フクフクの実」の能力者です。その実の能力で木の葉や小石をイメージした衣装に変えることができ、作中では「ドロン」という掛け声で寒い地域にいるときは防寒具を出したり、つけ髭を作り出して変装したりしています。ただ戦闘に直接活用しにくい能力なので、作中においても「フクフクの実」の力を使っているシーンは多くありません。
一方、錦えもんは「狐火の錦えもん」という異名を持っており、「狐火流」という刀から炎を出す剣術の使い手で、炎で焼き斬ることや炎をも斬り裂くことが可能です。そのような強力な剣術やユニークなキャラクターが目立ってしまい、錦えもんが「悪魔の実」の能力者であることを忘れている人も少なくないでしょう。
読者のなかでは「剣さばきがかっこいい」「いっぱいぶった斬って欲しい」といった声が多く、やはり剣術の印象が強いようです。
ちなみに、錦えもんの初登場は「パンクハザード編」で、当時王下七武海だったトラファルガー・ローに体をバラバラにされたシーンを覚えている人も多いでしょう。能力者としては印象に残りにくいですが、武装色や見聞色の覇気を使えるなど意外とハイスペックな戦士です。
●「ウマウマの実」ピエール
空の騎士であるガン・フォールの相棒のピエールは、鳥でありながら「悪魔の実」を食べてしまったキャラクターです。「空島編」では「ウマウマの実」を食べたことで、斑点模様が特徴的なペガサスに似た姿に変身したピエールが描かれています。
ピエールの初登場は第237話で先住民シャンディアの戦士のワイパーからの攻撃を受ける麦わらの一味を、ガン・フォールとともに助けます。作中ではガン・フォールを背中に乗せ、移動や戦いのサポートをするシーンもありました。
また続く第238話ではピエールが「ウマウマの実」によって変身する姿を初披露しますが、サンジたちは「いやァ 微妙…」とイマイチな反応でした。ピエールの変身についてネット上では「絶妙なフォルムで笑った」「空島編で一番好きなシーン」などの声があがっています。
動物が「悪魔の実」を食べるというパターンは、トニートニー・チョッパーなども該当しますが、そもそも鳥であるピエールが「ウマウマの実」を食べても飛躍的に変化したわけではないため、「悪魔の実」の能力者であることを忘れてしまいがちでしょう。
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最後までアツい、クセ強キャラといえば?
●「マネマネの実」Mr.2ことボン・クレー(ベンサム)
元バロック・ワークスの幹部「Mr.2」ことボン・クレー(ベンサム)は、相手に触れただけで擬態できる「マネマネの実」の能力者で、「オカマ道(ウェイ)」という信念を大事にするクセの強いキャラです。
作中では麦わらの一味との友情にフォーカスしている場面が多いため、能力者という印象が薄い人もいるのではないでしょうか。
彼の能力と仲間思いな一面が顕著に表れた回があります。それは第548話でのことで、ルフィたちはポートガス・D・エースのいるマリンフォードに向かうために海底監獄「インペルダウン」を脱獄し、行く手に立ちはだかる「正義の門」が開かずに困っていました。「正義の門」はインペルダウンの内部からの操作でしか開きません。
そんなとき、ボン・クレーがルフィたちを助けるため、インペルダウン署長(現:副署長)のマゼランに変身し、看守に開門するよう指示し、門が開きます。ルフィたちはインペルダウンからの脱出に成功しますが、ボン・クレーはひとりでおとりになるため、インペルダウンに残る決断を下しました。
最後まで危険をかえりみず友情を大事にするボン・クレーに、読者からは「ボンちゃんのアツい性格が好き」「作品のなかでもトップクラスにいいやつ」といった声が見受けられました。
ちなみにその後にボン・クレーはマゼランと戦い、生死不明になりましたが、第666話の扉絵にてインペルダウン内のニューカマーランドの女王として生きていることが確認できます。
上述した3つのキャラは「悪魔の実」を食べた能力者であるものの、それを忘れさせるほどに個性が強いものばかりです。最終章に突入した本作に、再登場することはあるのでしょうか。