「ヒーロー」を目指したいのに手に入れたのは「悪の力」

 春の訪れとともに、アニメファンの心を躍らせる新シーズンが到来します。特に、「週刊少年ジャンプ」や「少年ジャンプ+」(集英社)に代表される、「ジャンプ」発の新作アニメは見逃せません。話題性と期待の高さを兼ね備えた作品は、2024年のアニメシーンを彩るでしょう。

 ファン以外も目が離せない、この春必見のアニメ作品見ていきましょう。

●『怪獣8号』

『怪獣8号』(作:松本直也)はウェブコミック配信サイト「少年ジャンプ+」にて、2020年から連載されているマンガです。

 怪獣が日常的に襲来する日本で、主人公の日比野カフカ(CV:福西勝也)は小学生の頃に幼馴染の亜白ミナ(CV:瀬戸麻沙美)と「ふたりで怪獣を全滅させよう」と約束し、ともに怪獣退治の専門部隊「日本防衛隊」への入隊を目指していました。

 しかし、先に夢を叶えたミナとは違いカフカは選考に落ち続けます。気がつけばカフカは32歳になり、夢を諦め怪獣の死骸処理の仕事をしていました。そんなある日、清掃のアルバイトできていた市川レノ(CV:加藤渉)の助言で33歳未満まで防衛隊の募集年齢が引き上げられたことを知り、カフカは再び防衛隊を目指そうとします。

 しかし、突然現れた怪獣に襲われたことをきっかけに、カフカは怪獣に変身する能力を得てしまうのです。「怪獣8号」と名付けられ駆除対象として日本中から追われる身となったカフカは、その能力を秘密にしつつ再び防衛隊入隊を目指します。

 カフカの成長に伴う内面的葛藤や、迫力満点の怪獣バトルシーンにも要注目のアニメ『怪獣8号』は、2024年4月よりテレ東系列ほかにて放送予定です。

異色の野球×記憶喪失マンガとは

●『忘却バッテリー』

TVアニメ『忘却バッテリー』キービジュアル (C)みかわ絵子/集英社・KADOKAWA

『忘却バッテリー』(作:みかわ絵子)は、2018年から『怪獣8号』と同じく「少年ジャンプ+」で連載されているスポーツマンガを原作にしています。

『忘却バッテリー』は、「高校野球と記憶喪失」を掛け合わせたコメディ要素が強めの野球物語です。かつて中学野球でその名をとどろかせていた、ふたりの主人公・剛腕投手の清峰葉流火(CV:増田俊樹)と「知将」と評された名捕手の要圭(CV:宮野真守)は、やる気を喪失させるほどの実力から「悪魔のようなバッテリー」と恐れられていました。

 物語の語り部役となる山田太郎(CV:梶裕貴)は、ふたりに「自分の才能の無さ」を痛感させられ、野球部のない都立小手指高校へ進学するも、そこでなぜか清峰と要のふたりと再開します。実は、要が記憶喪失になっており、要と一緒でなければ野球をやらないという清峰がついてくる形で、同じ高校へ進学していたのです。

 記憶喪失で野球のことなども忘れ、アホキャラになってしまった要ですが、体は野球を覚えており、その才能を発揮していきます。そんなふたりに引き寄せられるように、山田と同じくかつて彼らの対戦相手として戦い敗北してきたメンバーも集まり、野球部を新設することになります。記憶を失いながらも変わらぬ野球愛を持つ要と、新しい絆を育む過程での彼らの成長が見どころのアニメです。

『忘却バッテリー』は、2024年4月よりテレ東ほかにて放送開始予定です。

●『ライジングインパクト』

『ライジングインパクト』は、『七つの大罪』でお馴染みの鈴木央先生によるゴルフマンガが原作です。「週刊少年ジャンプ」にて1998年から2002年まで連載されていた同作は、2度の打ち切りを経験した珍しい作品でもあります。今回、連載終了から20年以上経過して満を持してアニメ化されます。

 ゴルフを題材にした熱いスポーツマンガである同作は、「世界一の飛ばし屋」になることを夢見る福島の田舎に住む少年の七海ガウェイン(CV:久野美咲)が主人公です。彼は毎日のように野球ボールをかっ飛ばしていましたが、ある日、プロゴルファーの西野霧亜(CV:大地葉)と出会い、野球よりもずっと遠くへボールが飛ぶゴルフに魅了され、本格的にゴルフの道を歩み始めました。

 ガウェインの才能をすぐに見出した霧亜は、東京で彼にゴルフを教えることにします。練習の成果を披露した初の大会で、ガウェインはライバルとなる天才、ランスロット・ノーマン(CV:花守ゆみり)に次いで2位を記録しました。早くも才能を開花させ始めたガウェインは、ゴルフの名門校・キャメロット学院にスカウトされ、本格的にゴルフに打ち込む人生を送り始めます。

 ゴルフを通じてライバルとの熱い戦いや仲間との絆が描かれるのが見どころの『ライジングインパクト』は、Netflixにて2024年6月にシーズン1、8月にシーズン2の放送が予定されています。