体を張ってもかわいいのはずるい!

 年々制作されるペースが上がっているマンガの実写化作品について、原作のファンは作品の再現度が気になるところなのではないでしょうか。特に2次元ならではのキャラクタービジュアルや荒唐無稽なコメディ要素が肝であるギャグマンガは、「中途半端にやるなら止めてほしい」となかなか厳しい意見も見られます。

 しかし、逆に恥ずかしいセリフの連呼や変顔など、出演者が全力で体を張ったことで「悔しいけどここまでやられたら納得」と、シビアな原作ファンからの支持を獲得できた作品もありました。今回は、出演した女優が全力の体当たり演技で挑んだ、マンガの実写化作品を紹介します。

●『かぐや様は告らせたい』浅川梨奈

「週刊ヤングジャンプ」にて2015年から2022年まで連載されていた人気マンガ『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』(作:赤坂アカ)は、将来を期待された秀才達の集う名門校「秀知院学園(しゅうちいんがくえん)」の生徒会のメンバーである副会長の四宮かぐやと、生徒会長の白銀御行(しろがね みゆき)との間で繰り広げられる、恋愛の攻防戦を描いた作品です。

 美男美女かつ個性が強いキャラクターが多いため、実写化が発表された際は再現度を早くも懸念する声も続出します。しかし後にかぐや役が橋本環奈さん、白銀役が平野紫耀さんと発表されると「ビジュアルで納得せざるを得ない」といった反応も見られました。

 公開後、かぐや、白銀のほかに大きな反響があったのは、生徒会メンバーで書記を担当する藤原千花です。ピンク色のゆるふわセミロングヘアーが特徴の、かなりの天然キャラで天真爛漫なお嬢様というキャラクターの再現は難しいとも言われていましたが、演じた浅川梨奈さんの体当たり演技には「この藤原書記は200点」「アニメと声のトーンも喋り方もそっくり」と、高評価が相次いでいました。

 浅川さんはもともと原作やアニメの大ファンであることを公言しており、実写2作目の初日舞台挨拶では即興で役になりきって作品への思いを語っています。

 さらに実写映画ではかぐやが「ちんちん」という言葉で意図せず爆笑してしまう……という原作でも反響の大きかったエピソードが再現され、浅川さん演じる千花がためらいもなく「ちんちん」を連呼するシーンには「ここまでやってくれると思わなかった」「かわいいのに連呼はずるい」と爆笑を誘っていたようです。

●『ぐらんぶる』与田祐希

 青春ギャグマンガ『ぐらんぶる』(原作:井上堅二、作画:吉岡公威)は、物語の中心となるダイビングサークルのメンバーが頻繁に酒を飲んでは全裸になっているために、実写化が発表された際に「大丈夫か?」と原作ファンも戸惑う事態となっていました。

 予告編では主人公の伊織(演:竜星涼)と同じサークルメンバーの耕平(演:犬飼貴丈)が一糸まとわぬ姿で大勢の人が行き交うキャンパス内を疾走するシーンがありましたが、同じく「体張り過ぎ」と言われていたのが、伊織の従兄妹で同じ大学に通うヒロイン、千紗を演じた与田祐希さんです。

 与田さんが演じる千紗は冷静な常識人で、ふざけた態度をとる伊織に対して冷たい態度を取ったり、ときには本気で苛立つようなキャラクターです。実写映画ではさらに「酒を飲むと凶暴な性格に変貌する」という設定が加わり、酔った千紗が金属バットを振り回す、白目をむくといった暴走ぶりが披露されていました。

 与田さんにとって初めての映画出演でしたが、ファンは「初出演とは思えない暴れっぷり」「現役アイドルなのに白目までむくとは」と、体当たり演技に驚く声が続出します。

●『銀魂』橋本環奈

 下ネタ含むハイテンションなギャグと随所に登場する過激なパロディネタで、やりたい放題なマンガ『銀魂』(作:空知英秋)の実写映画は、豪華なキャストによる再現度の高さもあって大ヒットを記録しました。

 なかでも、ヒロインの神楽を演じた橋本環奈さんは、「1000年に1人の美少女」とまで称されるほどの圧倒的なビジュアルで、白目で鼻をほじる、ゲロまで吐く強烈なシーンをためらわずに全力で挑み衝撃を呼んでいます。作品を観た人からは「こんなに顔がいいのに本気過ぎる鼻ほじで、また観たくなった」「NGないのかってくらい本気で良かった」といった声も集まっています。

 橋本さんはインタビューで、メガホンを取った福田雄一監督からの「(指の)第一関節以上は過ぎましょう」という演技指導に基づいて本当に鼻をほじったと明かしており、まさに体当たりで神楽を演じていたことがうかがえます。