全ては鉄人28号からはじまった

 1956年に横山光輝氏による『鉄人28号』が発表されてから、日本では巨大ロボットが活躍する作品が作り続けられ、ひとつの作品ジャンルを形成しています。これは世界でも他に類がなく、日本特有の現象だといえるでしょう。そんな巨大ロボットを愛する人にとって2024年は特別な年といえるかもしれません。この記事では注目度の高いイベントや作品について紹介します。

●展示会が盛んに開催される!

 特定のアニメやマンガのリアルイベントは珍しいものではありませんが、巨大ロボットに特化したイベントが開催されるのはまれです。

 横須賀美術館では2024年2月10日から4月7日まで「日本の巨大ロボット群像 ―巨大ロボットアニメ、そのデザインと映像表現―」が開催されました。この展示会では、巨大ロボットジャンルの元祖である『鉄人28号』から現在に至るまで7章に分けて、巨大ロボットの発展という切り口で日本の巨大ロボット史が紹介されました。

 実写ドラマ版『鉄人28号』の撮影に使われたガジェットが展示されていたり、「巨大ロボット」史を俯瞰したりできる貴重な機会です。会場で販売されている図録も、資料性が高いものでした。今後、香川県高松市美術館にて2024年4月20日(土)〜6月16日(日)、京都文化博物館にて2024年7月6日(土)〜9月1日(日)の日程で巡回展が開催されます。また、2025年には愛知会場での開催が予定されています。

 2024年2月10日から3月24日まで、「角川武蔵野ミュージアム」で開催された「DESIGNS 永野護デザイン展」も見ごたえあるものでした。4月27日(土)〜5月26日(日)の期間、名古屋市「テレピアホール」でも開催されます。こちらは「日本の巨大ロボット群像展」とは違って、メカデザイナー(作家)である永野護氏の個展です。

 永野氏のメカデザインは「ロボット群像展」でもひとつの章(第6章 ロボットの「内部メカ」1980年代以降の大発展)をほとんど丸ごと割いて特集されているほど新規性が高く、熱烈なファンがいることで知られています。『重戦記エルガイム』から『The Five Star Stories』まで380点が展示されており、ファン垂涎の展示会だといえるでしょう。

初回から最終回まで、視聴者を驚かせ続けた『勇気爆発バーンブレイバーン』 (C)「勇気爆発バーンブレイバーン」製作委員会

新作と旧作リメイクも続々登場!

 2024年は完全新作の巨大ロボットアニメや旧作の新展開、リメイクなども予定されています。

 2024年冬シーズンのTVアニメ『勇気爆発バーンブレイバーン』は「勇者シリーズ」を思わせるメカデザインと、想像を遥かに超える展開がSNS上のリアルタイム視聴者の間で話題になりました。最終回に向けた展開は、どのような結末を迎えるのか全く想像もつかなかったファンを驚かせるものとなりました。良い意味でロボットアニメのファンの予想を裏切った作品だといえるでしょう。

「ガンダムSEED」シリーズの最新作、映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』も上映中です。2006年に放送された『機動戦士ガンダムSEED C.E.73. STARGAZER』から約18年越しの新作ということでファンを驚かせ、同時に不安がらせもしましたが、興行収益は44.1億円(2024年4月15日時点)を突破しています。これは歴代「ガンダム」映画で最高の成績です。ファンを大喜びさせた名作だといえるでしょう。

●海外でも愛された巨大ロボットたち

 2024年は1975年にテレビ放送された『UFOロボ グレンダイザー』がリメイクされた『グレンダイザーU』の放送が予定されています。同作はフランスやイタリア、クウェートやイランなどで高い人気を獲得した作品です。『グレンダイザーU』はサウジアラビアのムハンマド皇太子が立ち上げた「Mangaプロダクションズ」で制作されたため、ファンの間で「石油王のグレンダイザー」と呼ばれるなど話題になりました。

 YouTubeにはPVもアップされており、2024年3月11日には公式Webサイトで新規メカニックが公開されました。放送開始に向けて着々と進行しているようです。

 また2023年にフィリピンで公開された『VOLTES V LEGACY』も気になるところです。本作は1977年に放送された『超電磁マシーン ボルテスV』がフィリピンのGMA Entertainment Groupによって実写リメイクされたものです。残念ながら日本ではまだ公開されていませんが、PVのクオリティの高さから日本でも大きな話題となっており、続報が待たれます。

「巨大ロボット」作品がジャンル化するほど制作されているのは日本だけですが、実は海外にも多くのファンがいます。TV放送時に子供だったファンが大人になり、自分たちの手でリメイク作を作るほどです。

 きっと今後も新たな「巨大ロボット」作品が制作され、世界中でファンを獲得していくことでしょう。