コントローラの画期的機能にワクワクさせられた!

 1983年7月15日に発売されたファミリーコンピュータ(以下、ファミコン)は、今年2023年で発売から40周年を迎えました。そして任天堂の公式サイトでは、40周年を記念したキャンペーンページがオープンしています。

 そのなかには、懐かしのファミコンの機能を紹介するページがあり、「IIコントローラ」にマイクがついていたのを思い出した人も多いのではないでしょうか。

 ファミコンのIIコントローラには、ボリューム調節のスイッチとマイクが搭載されています。このマイクには今のスマホのような音声認識の機能はなく、一定以上の音量が入力されたかどうかをソフト上で判別するだけのシンプルなものでした。

 とはいえ、当時のファミコンキッズをワクワクさせるギミックであり、わずかではありますが、このマイク機能を活用できるゲームソフトも存在しました。そこで今回はファミコンのマイク機能がどのように活用されていたのかを振り返ります。

 まず紹介するのは、1986年にハドソンが発売した『スターソルジャー』です。高橋名人出演の映画にも登場したシューティングゲームとしても知られ、約100万本を売り上げた大ヒット作です。

 同作は縦スクロールのシューティングゲームで「パワーカプセル」を入手して、自機をパワーアップさせながらステージを攻略していきます。

 そんな『スターソルジャー』には、IIコンのマイクを利用する、ふたつの裏技がありました。そのひとつは、ステージ3のふたつ目の大陸の「ある場所」を攻撃しながらマイクで叫ぶと、隠しアイテムが出現するというものです。

 その隠しアイテムの名は「黄金の指」で、これを入手すると、ボタンを押すだけで高橋名人ばりのフルオート連射が実現できるという素晴らしい効果がありました。

 もうひとつは、難易度の高い裏ステージからスタートできる裏技です。タイトル画面でセレクトボタンを4回押し、続いてIコントローラーのセレクト、Aボタン、Bボタン、十字キーの右と、IIコントローラーの左を同時に押したまま、マイクで何かを叫びながらスタートすると裏ステージから始まります。

 ハドソンは『スターソルジャー』のほかにもマイクを使用するファミコンソフトを発売しており、IIコンマイクの活用に積極的だったメーカーの筆頭と言えるかもしれません。

 続いては、1989年にコナミが発売した『がんばれゴエモン2』です。天下の大泥棒・ゴエモンや、ねずみ小僧エビス丸を操り、財宝が隠された城を目指すというアクションゲームでした。

 そして同作のマイクを活用した裏技は、道中にある「おみくじや」で使えます。通常、一度おみくじを引くとその店でおみくじは引けなくなりますが、マイクで叫ぶともう一度だけ引けるようになるという裏技です。

残念ながら「クラシックミニ」ではマイク機能が省略されていた 「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」(任天堂)

「伝説のクソゲー」でもマイク機能が活躍!

 裏技ではなく、ゲームのクリアに必要な要素としてマイクを使用することになったのは、1986年にタイトーが発売した『たけしの挑戦状』です。

 タレントのビートたけしが監修した伝説的なゲームで、サラリーマンが財宝を求めて旅立つというストーリーでした。

 同作でマイクを使用するシーンはいくつかありますが、たとえばゲーム中に訪れるカラオケスナック「あぜみち」でカラオケを歌う場面があり、実際にIIコントローラーのマイクで歌って高評価を得ないと、先に進めません(IIコンの下キー+Aボタンでマイクの代用もできますが)。

 ほかにもパチンコ屋で玉がなくなったときや、宝の地図を出す方法のひとつとしても、マイクを使用する場面がありました。

 このように、ゲーム攻略の部分にまでマイク機能を活用してみせた『たけしの挑戦状』には、当時驚かされた人も多かったことでしょう。

 今はスマホを始め、いろんなところに音声認識技術が利用されていますが、40年も前の家庭用ゲーム機に「マイク」をつけた任天堂の発想力には驚かされるばかりですね。