日銀は3日朝、約20年ぶりにデザインを一新した3種類の新紙幣(日本銀行券)の発行を始めた。「日本の資本主義の父」と称される実業家の渋沢栄一(1万円札)、津田塾大創始者の津田梅子(5000円札)、破傷風の治療法を確立した微生物学者の北里柴三郎(1000円札)の肖像がそれぞれ描かれたお札は、早ければ同日昼ごろから金融機関を通じて個人や企業などに出回る見込み。

 日銀本店と全国32カ所にある支店は、通常より1時間早い午前8時に発行業務を開始。東京都中央区の本店では植田和男総裁が「キャッシュレス化が進展しているが、現金は誰でも安心して使える決済手段で、今後とも大きな役割を果たしていくと考えられる。国民に広く行き渡り、経済を支える潤滑油となることを期待する」とあいさつした。

 日銀の金庫に保管していたお札を各金融機関に引き渡し、現金輸送車に積み込む作業が始まり、3日には1兆6000億円分を世の中に送り出す予定。【浅川大樹】