滋賀県の甲賀広域行政組合消防本部(甲賀市)で、新型コロナウイルスワクチンの接種を受けなかった女性職員が「接種拒否者」として廊下脇で勤務させられるなどした問題で、同組合は28日、感染対策として不適切な判断をしたなどとして、本田修二消防長(60)を停職3カ月の懲戒処分、部長級から課長級に降任する分限処分をしたと発表した。消防長は同日付で依願退職した。

 消防本部は2021年、接種を辞退した30代の女性職員に対し、全職員との接触を制限。「ワクチン接種拒否者への業務区別」とする消防長名の内部文書で全職員に知らせ、職員は退職した。問題は23年に毎日新聞の報道で発覚し、第三者委員会が「違法で不当、不適切だった」として、ハラスメントだと指摘する報告書を出した。

 消防本部内でのハラスメントに関する第三者委のアンケート調査には、職員ら208人のうち68人が被害を申告した。消防長に対しては24人から137件の申告があり、組合の懲戒審査委員会は76件を認定。暴力行為や暴言、休日出勤の強要などがあったという。組合によると、消防長は「未接種の職員につらい思いをさせた」と謝罪したという。

 また組合は、第三者委のアンケート調査に余計なことを書かないよう複数の部下に求めたなどとして、消防次長(53)を停職6カ月の懲戒処分、係長級に降任する分限処分をした。【村瀬優子】