派閥の政治資金パーティー裏金事件などで政治不信が広がる中、自民党宮崎県連会長選が18日開票され、宮崎2区選出の元農相、江藤拓衆院議員(63)が県連幹事長の中野一則県議(75)を破り、当選した。宮崎で国会議員経験者が県連トップに就くのは19年ぶり。県議ら地元政界が会長を輩出する全国的にも珍しい県連だったが、変革を求める党員の声が強まり「慣例」が覆った形だ。

 2008年に県連会長の公選制が導入されてから初の選挙戦となった。党員による郵便投票で、県連によると、得票数は江藤氏が4235票、中野氏が1426票だった。有権者数は1万2952人で、投票率は43・89%だった。

 次期衆院選を見据える中、江藤、中野両氏とも会長選で逆風への危機感を隠さなかった。江藤氏は「あらゆる努力を尽くし、国民、県民の信頼回復に努める」、中野氏は「党の出直し的改革が必要で、地方の声を反映すべきだ」と党員向け選挙広報で訴えていた。

 宮崎の県連会長が国会議員経験者になるのは、衆院議員を務めた故堀之内久男氏が退いた05年以来、19年ぶり。この間は県議か、その経験者ら計6人が会長を務めてきた。地元政界の顔役を会長に据える県連はわずかで、党ホームページによると、全国47都道府県連のうち国会議員ではない県議、元県議が会長なのは茨城や島根など9県連しかなかった。

 しかも、そのうち六つが九州、山口、沖縄に集中していた。江藤氏の当選で、その一角が崩れた形だ。党所属のベテラン県議は「この難局を乗り切るにはどうすべきか、党員一人一人の判断の結果だろう」と話した。

 選挙結果を受け、江藤氏は事務所を通じて「まず大切なのは、党員や県民との対話を行い、頂いた憤りや怒りを党本部に率直に伝え、党としてのあるべき姿を提言することだ」とのコメントを出した。

 中野氏は「約20年間、この県連会長が地方の議員だった。この灯を消してはならないという思いで立候補した。残念ながら結果が出ず、大変申し訳ない」と話した。

 江藤氏は5月25日の県連大会で就任する。【下薗和仁】

 ◇県議や元県議が県連会長の自民党県連(党ホームページより)

 茨城、島根、徳島、山口、福岡、熊本、大分、宮崎、沖縄